加賀城・空 & 天見・日花

●ハッピーメリークリスマス

 付き合いはじめて、どれほどの時間を過ごしただろう?
 長い時間、一緒にいる気もするけど、本当はそんなに時間が経っていないような気がする。
 ふと、隣を見れば、にこやかに笑う日花の顔が。

 どきっ。
 視線が合い、すぐさま顔を逸らしてしまった。
「あ、変なこと言っちゃったかな?」
「う、ううん! な、何でもないから」

 どうしよう、どうしてだろう?
 どきどきして、少し苦しくて。
「そ、そうだ! あれ、聞いたことある?」
 最近聞いた面白い話題を日花に尋ねる。
「ううん、まだだよ。良かったら教えて」
 ちょっと不自然だったかもしれないけど、日花が喜んでくれるのなら。
「あ、あのさ……」


 どうしてかな?
 どうして、こんなにどきどきするのかな?
 もしかして……空くんが、隣にいるから?
 どうしよう、空くんの顔を、ちゃんと見れないよ。
 結社とかなら、すんなり話せるのに。
 どうして、二人っきりになると、上手く話せられなくなっちゃうのかな?
 あ、空くん、顔をそらしちゃった!
 もしかして、怒っているのかな?
 恐る恐る尋ねてみると……なんだか違うみたい。
 せっかくのクリスマスなのに、上手く話せないのはどうしてなのかな?

(「ねえ、空くん?」)

「何か呼んだ?」
「え? あ、ううん、なんでもないの」
 思わず笑みを浮かべてしまう。
 だって、心の囁きが届いたみたいで。
「そろそろ、別のトコに行こうよ、空くん」
「別のトコ?」
「えっと……喫茶店とか」
「俺はかまわないぜ」
「じゃ、決まり!」
 空くんの手を引いて走り出す。
 そう、クリスマスはまだ、始まったばかりなんだから。




イラストレーター名:アルミ