御巫・アザ & 篠江・翔

●相変わらずの2人

 楽しいパーティーの帰り道。
 二人は公園に差し掛かっていた。
 綺麗なイルミネーションが輝くツリーを眺めながら、二人はゆっくりと歩いていく。
「あ、アザ。こ、これ……」
 急にアザを呼び止め、口ごもるのは翔。
「翔?」
 不思議そうに振り返るアザに、翔はプレゼントを突き出した。
「や、やる……」
 照れたように頬を染めて手渡されたプレゼント。
 そのプレゼントに、アザは一瞬間をおいたものの、すぐに笑みを浮かべた。
「開けても良いデス?」
「好きにすれば?」
 そっけない答えだけれど、まだその頬は熱くて。
 アザは受け取ったプレゼントを手に、側にあったベンチに座った。
 そして、包装を解いていくアザ。

 と、二人の動きが止まった。

「あの〜……翔?」
 暖かい笑顔で尋ねるアザ。翔は赤くなるのを通り越して、湯気が出ているようだ。
 ちなみに中身はというと、とてもとても口には出せない、青少年の教育上良くない代物。

「ち、ちがっ……これ、違う!!!」
 慌てふためいて翔は否定する。
 ふと、思い出した。
 そういえば、この包みに似たものが、パーティー会場にあったような気がする。
 恐らくそこで、間違えて持ってきてしまったのだろう。
「だっ誰かのと間違えたんだ!!」
「オレは別に、これでも良いデスけど……」
「良いわけあるかバカっ!! 戻るぞ!!」
 アザの袖を引っ張って、来た道を引き返す翔。
 その背中を見ながら、アザは小さく呟いた。
「それにしても、このプレゼントをあげようとしたのは、誰だったんでしょう……」

 二人の『ドキッ! プレゼント間違えちゃった事件』は、こうして幕を下ろしたのであった。




イラストレーター名:和泉秋央