●クリスマスは罰の味?それはちょっとしたスパイス
今日はちょっぴり特別な日。
なぜなら二人っきりで迎える初めてのクリスマスだから。
テーブルの上には、和洋のご馳走が並べられていた。
郁は和食のものを、恭介は洋食のものを持ち寄ってきている。
ちなみにケーキは今、二人で一緒に作成中。
「これで完成ですね」
郁は嬉しそうににこっと微笑んだ。
「我ながら良い出来!」
恭介もちょっぴり満足げな様子。
郁はできたばかりのケーキをテーブルに運び、いよいよ、二人だけのパーティーが始まる。
「「かんぱーいっ!」」
かつんと、シャンパンの入ったグラスがぶつかる音が響く。
「それじゃ、どれからいただきましょうか」
どれも美味しそうで困っちゃいますと、郁はうーんと考えている。
「そういえば……」
シャンパンで喉を潤した恭介が口を開いた。
「先日の罰ゲーム、やってなかったね?」
「え? 罰ゲーム……ですか?」
ふと郁は思い出す。先日行われた大作戦。そこで大怪我をしてしまった郁に、恭介から罰ゲームが科せられていたのだ。
恭介は意地の悪い微笑を浮かべて、スプーンを手に取った。
そのスプーンには美味しい料理が乗っている。
「ほら……あーん」
郁は真っ赤になりながら、あたふたあたふたしている。
「やや、やっぱり……食べなきゃだめですか?」
そういう郁に。
「うん」
未だに意地悪そうな笑みで答える恭介。
観念したのか、顔を真っ赤にさせたまま、ぱくっと、恭介の差し出すスプーンを口に含んだ。
郁の口の中に美味しい料理が広がっていく。
「はい、良く出来ました」
ちゃんと罰ゲームをした郁の頭を、恭介はそっとなでてやる。
「そ、それなら……」
それでもご機嫌斜めな郁もお返しにと。
「それなら恭介さんも食べてください」
先ほどと同じ料理を、負けじとスプーンですくって恭介の口元へ。
「え? 俺も?」
まあいっかと、ぱくんと一口。あまり罰ゲームにはならなかった様子。
むしろ嬉しそうに見えるのは、気のせいだろうか?
気が付けば、二人は互いに食べさせあいながら、美味しいご馳走を食べている。
外では雪が降るほど寒い夜ではあったが。
二人の部屋は外よりも遥かに熱く感じられたのであった。
| |