鷹來・遥姫 & 東堂・琢己

●ミニスカサンタの逆襲

 今年は二人でゆっくりクリスマスを過ごしたいからと、琢己を自分の家に招待した遥姫。
 招待を受けた琢己もこの1年、ばたばたと忙しかったから今日ぐらいはゆっくりと過ごしたいと思うのは、遥姫と同じだったが、なにやら彼女が息巻いているのが少しだけ気になっていた。

「琢己先輩、ケーキ貰ってきてー?」
 二人でのクリスマスパーティーの準備をしていると、遥姫が琢己へとお願いする。今日のケーキはしっかりとケーキ屋さんに予約してあるから、それを受け取ってきて欲しいとそれと一緒に差し出すのは家の鍵。それに首を傾げる琢己。
「準備でハルも出かけちゃうかもしれないから……」
 遥姫のその言葉を聞けば、納得したのか鍵を受け取りケーキを受け取りに向かう。
 それに遥姫はバイバイと手を振って見送ったが、扉が閉り彼の姿が完全に家から離れたことを確認すると、ひとり慌ただしく動き出す。
 去年は琢己によって驚愕させられたから、今年は去年のリベンジで自分が驚かしたい。
「たまには、ハルだって琢己先輩の驚いた顔見たいもんー!!」
 そんな事を言いながら、部屋の中を駆け回る。

 まずは自分がミニスカサンタに大変身。
 鏡でかわいく変身した自分の姿をチェック。どこもおかしな所がないことをチェックすると、部屋の電気を消した。
 前もって鍵も渡し、出かけるかもなんて言っておいたのだから、琢己が暗い部屋に入ってきても、おかしくは思わない。そんな事を考えて、暗い部屋の中のソファに身を隠すと、楽しくてひとり小さくくすくす笑う。
 暗い部屋の中、じっと息を潜めて琢己の帰りを待つことにした。

 どれくらい待っただろうか。
 もの凄く長くも感じたけど、わくわくして待つ時間は短くも感じた。
 玄関の開く音、そうしてこの部屋に向かって歩いてくる微かな足音が次第に大きくなってくる。
 心臓がドキドキしすぎて、飛び出しちゃうんじゃないだろうかと思ってしまう。
 部屋の扉を開けて、暗い部屋の中に琢己が入ってきた。
 いきなり飛び出してはいけない。こういうときはしかりとタイミングを計らないといけない。
 琢己の手が部屋の電気のスイッチに伸びる間に、遥姫が彼の背後に回り込む。

「メリークリスマスー!!」

 電気がつくのと同時に琢己に思いっきり抱きつく。
 遥姫の声はとても嬉しそうで、琢己が驚いたかどうだか顔を覗き込む。
 もし驚いていてるのなら大満足で、可愛いサンタからのプレゼントでそのまま琢己の頬にチューしてしまおうと思っていた。




イラストレーター名:碧川沙奈