●あったかクリスマス
飛連はふと、隣に居るスカルサムライの翔連を見た。
今回は翔連と過ごす2度目のクリスマス。
できるのなら、翔連と一緒に学園のパーティーに行けたらよかったのだが……。
ううんと、飛連は首を横に振る。
今は、今日という日を楽しもう。
だって、今日はクリスマスなのだから。
「翔連、そこの飾りを取ってくれるかい?」
飛連はそういって、スカルサムライの翔連に頼む。
翔連の側には、パーティー会場で余った飾りの入った箱が置いてあった。
それを使って、家のツリーを彩っていく……はずだったのだが。
ブチッ。
イルミネーション用のコードを取り出そうとして、引きちぎってしまった。
「だ、ダメだよ、翔連……」
キラキラとしたイルミネーションを楽しめなくなってしまったのは、ちょっと残念だけれど、これくらいならかまわない。灯りなら、キャンドルがあるのだから。
ずっと俯いている翔連の頭をそっと、飛連がなでてあげる。
「さ、気を取り直して、これを一緒に飾ろう」
飛連が取り出したのは、青と赤のモール。
飛連と翔連は、そのモールを窓の近くに取り付け、全ての飾り付けが終わった。
「かんぱーいっ!」
ワイングラスにオレンジジュースを注いで、二人は楽しそうに乾杯した。
今、彼らの頭の上にはお馴染みの三角帽子が乗せられ、目の前には、明かりを灯したキャンドル、そして、甘くて美味しいケーキも置かれていた。
もちろん、二人で交換するプレゼントも用意した。
「美味しいね、翔連」
ケーキを食べながら、飛連は幸せそうにそう告げる。
ふと、その手が止まった。
開いたカーテンの隙間から、外の風景が見える。ふわふわとゆっくり落ちていく白い雪。
「雪だ……」
そんな彼に、そっと毛布がかけられた。もう少しでケーキやジュースに付きそうになったが、これもまた、翔連らしい。
「ありがとう、翔連」
飛連は毛布の温もりを感じながら思う。
(「いつも、一緒にいてくれるから……。僕はどこにいても、寒くないのです。
いつも守ってくれてありがとう、翔連。いつか僕も、もっと強くなって、お前を守るよ。そしていつまでも一緒にいよう」)
窓の外の雪を眺めている。
ゆっくりと降る雪。寒いはずなのに、暖かく感じるのはきっと。
翔連が隣にいてくれるから……。
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