霧宮・凪乃 & 葦若・紗津希

●冬空の下で

「お茶会、楽しかったですね」
 つい先ほど行われたお茶会。凪乃は紗津希と一緒に楽しんだお茶会を思い出していた。
「うん、凪乃ちゃんのケーキ、とっても美味しかったよね」
 紗津希は交換して食べたケーキを味を思い出したのか、ちょっぴり幸せそうな顔を見せている。
 そんな紗津希を見て、凪乃は思わず笑みを浮かべた。

 楽しいパーティーも終わり。
 後は帰るだけである。
 校舎を出たところで、二人は小さな声をあげた。
「雪だよ、凪乃ちゃん!」
「ええ、今年もホワイトクリスマスですね」
 二人は微笑み、外へと出る。
「くしゅんっ」
 雪が降るなんて想定していなかった服装に、紗津希はぶるっと身震いした。
「雪が降るんなら、もう少し厚着しておけばよかった」
 そんな紗津希に凪乃はそっと、手に持っていた包みを手渡した。
「え? これ……紗津希に?」
「本当は家の近くで渡そうかと思ったんですが……あけてみてください」
 凪乃の言葉のまま、紗津希はその包みを開いた。
 ふわふわの暖かそうなマフラーが、入っていた。
「メリークリスマス、紗津希さん」
「ありがとう……凪乃ちゃん」
 凪乃は開いた包みから、マフラーを取り出し、紗津希の首に巻いてあげる。
「とっても暖かいよ……本当に、ありがとう……」
 ふわふわのマフラーを頬に寄せながら、紗津希は笑みを浮かべる。
「喜んでもらえて、私も嬉しいです」
 凪乃も幸せそうに微笑み。

 少し肌寒い夜。
 けれど二人にとっては、そんな寒さなど感じない。
「ねえ、凪乃ちゃん……もしかして、これ、手作り?」
「はい。がんばって作りました」
 尋ねる紗津希に凪乃は笑顔で応えた。
「通りで暖かいと思った」
 二人のクリスマスはこうして、ゆっくりと終わりを告げるのだった。




イラストレーター名:笹本ユーリ