姫琴・睦美 & アクアリース・シフォン

●賛美歌をあなたと

「去年は……あちこち回りましたよね? ああいうのも…嫌ではないのですけど……」
「今年はもう少しまったりしたい、と」
「ええ」
「よろしいですわ♪ では今回は落ち着いた私をお見せ致しましょう♪」
「落ち着いた……ですか……?」
 昨年と同じく今年もアクアと一緒にクリスマスを過ごす睦美。
 今年はゆっくりとしたクリスマスを過ごしたいというアクアの意見を取り入れてみた。
 だから今年は劇場で、クリスマス公演を見て、かわいらしいカフェで食事。そうして最後はチャペルでのクリスマスミサに参加するといった感じのクリスマス。

「大丈夫、昔は信じてませんでしたけど、アクアちゃんと会わせてくださった現在、私はあなたを全肯定! ドイツのどなたかの話では亡くなられたそうですけど、今では復活してぴんぴんしているとアクアちゃんとの出会いが証明してますわー!」
 「なんというイースター」と付け加える睦美だけれども、それは日にちが違う。シックに決めるクリスマスだけれども、睦美のテンションは普段とあまり変わらない。
 睦美のテンションなど関係なしに、クリスマスミサは厳かに行われる。
 そこで睦美はアクアに用意したプレゼントを取り出す。それはラピスラズリの指輪。
 教会で指輪のプレゼントなんて、睦美的には大盛り上がりで、放っておけばこのまま大声で永遠の愛を3回くらい誓ってしまっていたかもしれない。
「ありがとうございます」
 アクア的には普通のプレゼントなのかどうなのか、睦美的には分からなかったけれども、お礼の言葉だけで充分。
 更にコレにお礼のキスなんかが加われば、軽く死ねる自信があった。
 そんな口づけがあったのか、それとも何もなく終わっていくのか。それは、この厳かなクリスマスミサが終わるまで分からない出来事。

 教会内では、聖歌隊による綺麗な賛美歌の合唱が響いていた。




イラストレーター名:琥姫ミオ