壬生・瑞明 & 壬生・桜霞

●とわに、ともに。

 学園でのクリスマスパーティーはとても賑やかで煌びやかで、とても大騒ぎなイベント。そんな楽しいパーティーを楽しんできた瑞明と桜霞。
 さっきまでの大騒ぎが嘘のように、帰り道はとても静か。
 住宅街の中のちいさな通りでさえ、それぞれの家に電飾が施されていて、重十分に幻想的なクリスマスイルミネーションを楽しむことが出来る。

 その沈黙は決して嫌なものではなくて、逆に冬の冷たい空気と重なって心地よく感じる。
 瑞明と桜霞は手を繋いで、電飾が施された道を家の方に向かって歩いていく。
 ふっと桜霞の足が止まった。それに気がついた瑞明も立ち止まり、隣の桜霞を見る。彼女は空に顔を向けていた。
 不思議そうに空を見上げていた少女の表情はみるみる、笑顔ではちきれんばかりになる。
 繋いでいた手を離し、両手を空へと翳す。
 空から舞い降りてくる雪を掴もうと、一生懸命に空へと伸ばす。
 雪が降ってきた事に、小さな笑い声を上げてはしゃぐ桜霞の姿を優しく見守る瑞明。その姿はまるで雪の精の様だと思う。
 無邪気に駆け回る妹の姿を見つめる。血は繋がらない。けれども大事なたった一人の妹。
 彼女が居るからどんな恐ろしいゴーストと対峙しても刀を持つ手が震えることはない。
 強く、強く。今よりもっと、木野よりもずっと。
 全てはたった一人の妹の笑顔を護りたいから。
 桜霞の笑顔をずっと見ていたいから。
 そこが自分の『帰るべき家族(場所)』だから、温かな大切なものを護るために。

 先に行く、桜霞を追いかける。彼女に追いついたら、瑞明は彼女の体をふわりと抱き上げた。
 大事な大事な、愛しい魂。
 それはすごく当然な事であるかのように、抱きかかえられた桜霞は兄の腕のなかで、穏やかな微笑みを彼へと向ける。
 二人の前には電飾で煌めく大きなクリスマスツリー。
 その下で、桜霞はさっきと同じよう手を伸ばす。
 それは舞い降りる雪を受け止めるようにしているのか、それとも空に駆けあがっていく光を追いかけようとしているのか。
 そんな彼女の仕草に、誘われて瑞明も光が駆け上がり、雪が舞い落ちてくる空を見上げる。その表情はとても満ち足りた微笑み。

「来年も、さ来年も、ずーっと一緒にいられたらいいね♪」
「……桜霞が望むなら、いつまでも俺はお前の騎士(シュヴァリエ)でいるよ」
 空を見上げていた桜霞が、自分を抱く兄の瑞明を見て笑う。それに瑞明も優しく答える。
 兄の言葉は嬉しいものなのだろうけれども、聞き慣れない単語に不思議そうに首傾げてしまう。
 そんな彼女に微笑み返す瑞明の足が、ゆっくりと動き出す。

 ――――――さあ、我が家へ、帰ろう。




イラストレーター名:兎月郁