●Happy Happy Merry Christmas
クリスマスパーティーが終わった後、大きなクリスマスツリーを見に行こうと言うことになって、剛と琉架は早速街に繰り出した。
勢いよく外へと飛び出したものの、外はやっぱり寒い。
どちらからともなく差し出した手は、ためらいがちに指先を絡め、しっかりと握り合う。
手を繋ぐのはもう何度目かな？
そう思いながら、琉架が剛の顔を見て笑う。
手を繋ぐことにちょっと慣れた今は、手を繋げることが嬉しくて、でも時々照れしまうけれども、それでも顔を見合っては微笑んだり、楽しくおしゃべりしたり。そんな幸せ気分が溢れそうになってしまう。
そんな琉架の気持ちを察したかのように、街も綺麗にイルミネーションで瞬いている。
電飾で彩られた建物。
愛らしいトナカイやスノーマン。それにお茶目なサンタクロース。
どこを見てもクリスマスムード満点。
ひとつひとつ見ていても飽きない。
ゆっくり見ながらそれでも大きなクリスマスツリーに向かって歩いていけば、通りの向こう側に次第に見えてくるクリスマスツリーの影。
「行きましょう！」
クリスマスツリーの影が見えて居ても立っても居られなくなった琉架は
繋いだ剛の手を引っ張り気味に歩き出す。
「すごく綺麗ですねー……」
繋いだ手はそのまま、そのまま体を寄り添って見上げるツリーはとても綺麗で素敵。
どれくらいそうして見ていただろうか、ふっと互いの視線があった。視線が合ったことで、二人はにこりと笑い合った。
そうしていつの間にか、微笑みが消えてどちらかともなく静かに顔を寄せ合い、唇を重ねる。
重なった唇が離れた後、なんだか二人は照れてしまって、そろって頬を赤く染め、目が合わせられなくなってしまう。
手を繋ぐのは少し慣れたけれど、キスはいつまでたっても慣れそうにない。
手を繋いで感じるうれしさに、唇を重ねて感じる温かさ。
そのどれも幸せと思う。
だからこの幸せがずっと続きますようにと、琉架は繋いだままの手をぎゅっと握りしめた。
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黒矢・剛 
