朝月・紫空 & 朝永・柾世

●Malice

 部室でみんなとクリスマス会。
 さっそく、小さなツリーのオーナメントや、パーティー用のオードブルなどを買いに、部員達は出かけていく。
 紫空と柾世も、みんなとのクリスマスを楽しみに、買出しに向かった。
 目当てのものもばっちり揃い、後は帰るだけ。
 けれど、少し疲れた二人は、ホットココアと紅茶を買い、公園のベンチで一休みすることにした。
「ソラと知り合って、もう少しで一年になるのかな……」
「ん、かな……。早いな……」
 クリスマスと年の瀬と……時間が経つのはとても早く感じる。
 一息つくように、二人は、頭上をのんびり流れる雲を眺めた。

「そうだ……」
 思い出したように柾世が尋ねる。
「ソラの方はどんなの買ったの……?」
「んと……これ」
 柾世に尋ねられ、紫空は購入した飾りのお披露目する。
「可愛いよな……オーナメント……髪飾りにもなりそうだ……」
 取り出したオーナメントの一つを、そのまま紫空の頭に乗せる。
「ソラツリー完成……なんて……」
 くすくすと笑いながら、柾世はそう言った。
「……む……」
 思わず、じっとしてしまう紫空。
 そんな紫空をしっかり、携帯電話で激写。
「ん……保存保存……」
「む、むむむ……」
 ちょっぴりご機嫌斜めな紫空。
 いや、彼女も何か名案が浮かんだ。
 袋から綿を取り出して。
「……仕返し」
「うお……」
 紫空はぐるぐると柾世の頭に巻きつけた。
 そして、紫空も自分の携帯電話を取り出して、ぱちりと写真を撮る。
「そ、それなら、これを……」
「……じゃあ、これ」
 二人は頭にオーナメントを乗せながら、携帯電話でぱちぱちと写真を撮るのであった。

 数時間後。
 遅くなったのに気づいて、二人はすぐさま部室に戻った。
 だが、二人は忘れていた。
 急いでいるあまり、頭のオーナメントを付けたままだということを。
「ご、ごめん。遅くなった」
「……ただいま」
 仲間のいる部室で、楽しい笑い声が響いた。




イラストレーター名:華谷百花