●メリークリスマス!!
キラキラとイルミネーションが輝く夜の街。
普段、よく見知っている場所のはずなのに、まるで別世界のようだ。
今日はクリスマス。
ただ、クリスマスというだけで、世界はこんなにも変わってしまうのだろうか。
「うわぁ、綺麗……!」
メリルは思わず歓声をあげた。
愛らしいスノーマンに、ひょうきんなサンタクロースに、その後を追いかけるトナカイ。
クリスマスツリーの形をした光の樹、まるで星空のように散りばめられた光のかけら。
街は、光という光で溢れかえっている。
その光を反射するかのように瞳を輝かせて、メリルは、どれだけ見渡しても見飽きないほどに、イルミネーションに見入っている。
「こういうのが好きなのか?」
「うんっ。すごく綺麗よね」
隣に立つ一生の問いに、メリルはこくこくと頷き返す。
でも、それは……1人じゃないから。
一生が一緒で、すぐ隣にいるから、ここまで楽しいのではないかと、そうメリルは思う。
「……あ」
胸の高まりを抑えられず、なおも歩くメリルはふと、何かを感じで頭上を見上げた。
きらきらと輝く光の隙間から、そっと降りてくる小さな純白。
「……雪か」
すぐ傍で呟く一生の声が聞こえる。それに呼応するかのように、はらはら、はらはらと、舞う粉雪は増していく。
「積もるかしら? あ、でも、積もったら大変ね」
雪遊びできるくらい積もったら楽しそうだけど、そうなったらきっと大変だろうとメリルは笑う。雪だるま、かまくら、雪合戦もいいかもしれない。そう楽しげな彼女の様子に、一生はそっと目を優しげに細めて。
そっと、彼女の肩を抱き寄せた。
「……」
静かに、より近付く2人の距離。
メリルもそれに応えるかのように微笑み返すと、そっとその肩に自分の頭を添える。
「ね……次、どっち行こうか?」
交差点の前で立ち止まれば、照れ隠しのように、そう問いかける。
きらきら輝く街を、更に引き立ててくれる雪。
きっと、すぐに溶けてしまうのだろう。
でも、今だけは……。
粉雪の舞う中、いっそう綺麗に輝く光。溢れかえるほど押し寄せる光の波を、いまはただ、光景を、2人だけで楽しもう。
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