●WhiteChristmas
クリスマスのイルミネーションは、なんで普段よりもすごく綺麗に見えるのだろう。
クリスマスだからってわけじゃなくイルミネーションは結構好きだったりするロイトは、緋奈姫をイルミネーションを見に行こうと誘った。
そういって誘ったものの、とてもベタで申し訳ない様な気もしていたのも事実。しかし自分の横の緋奈姫は喜んであふれかえっている光に夢中。
そんな姿を見れば、さっきまでの不安が吹き飛んで、連れてきて良かったと思った。
青い光に温かい白い光、それに色んな色の電飾。
その全てが計算されて、デコレーションされているから普段のイルミネーションよりも断然い迫力がある。
「ホント、見てるだけでも圧倒されます……!」
ほうっとため息をはき出す緋奈姫。
クリスマスのイルミネーションの煌びやかな光に夢中になっている。ここに雪でも降ればホワイトクリスマスなのになぁ。と、視線を瞬く光から空へと移して見る。
ロイトも同じく、ここで雪でも降れば、少女漫画的展開だなぁ。と思っていたとか。
「「あ」」
二人の声が重なった。
二人の視線は空を見上げたまま。
真っ黒な冬の空から、白い雪が舞い落ちてくるのだ。
まさか本当に降ってくるとは思っていなかった二人は空を見上げて、状況が飲み込めずにぽかーんと見上げたまま。
お互いにそんなんだから、思わず二人は顔を見合わせて笑い合う。
しかし雪が降ると言うことは、かなり冷える。ちょっとどころの冷え込みではない。
なんだかその寒さに一人で葛藤中の緋奈姫に、ロイトが自分が着ていたコートを掛ける。
「ホワイトクリスマス、はいいんだけど……ちょっと寒いな」
「わ、これは温かいです……!」
煌めく光に合わせたかのように、降ってくる白い雪はとても幻想的で綺麗なのだけれども、冷え込みはさっきよりもきつくなっているのも事実。笑うロイトに、お礼を言う緋奈姫。
寒かったはずなのに、とたんに温かくなった。
しかも贅沢なクリスマス。
そんなことを考えながら、ロイトを見ると自分にコートを貸してくれたおかげで、何だか寒そう。すると緋奈姫は自分の首にかかっているボンボンのついたとても少女らしい可愛いマフラーを外し、ロイトの首に掛ける。
突然の事に少し驚きながらも、笑顔で受け取るロイト。
暖かいし有難いけど、この可愛らしいマフラーを男がするのはどうなんだろうと、ちょっぴり思う。
来年は室内で、もう少しちゃんと考えたクリスマスにしようなんて思いながら、今日だけの幻想的な風景を楽しんだ。
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