●二人だけのクリスマス
今日はクリスマス。
部屋を暖かくする暖炉の前で凜と雪兎がそれぞれのプレゼントを取り出した。
「メリークリスマス!」
「メリークリスマスですー。凛君〜」
「早速のプレゼント交換だ! あげてごらん?」
凜の手の中にある箱が雪兎の手へと渡る。
ありがとう。と、うれしそうに受け取った雪兎は綺麗に掛っているリボンを外し、箱を開けていく。
中には黒くて小さくて、ふわふわしているものが丸くなっていた。雪兎はすぐにそれが何か分ったのか、嬉しそうな笑顔で黒くてふわふわの小さな兎を箱の中から抱き上げた。
「わぁ兎さんです! 本物ですか!?」
雪兎に抱き上げられて眠っていた黒ウサギは目を覚まし、すぐそこの雪兎の顔をじっと見る。雪兎は兎をくれた凜の方を見て上機嫌。
今度は雪兎から凜へと渡す箱。
兎を貰って機嫌良くしかも、今回のプレゼントはとてもがんばったから、凜に箱を渡すときは少し得意気だった。
リボンを外し箱を開けた。
中には何かくてっとしたものがひとつ入っている。
「雪は凛君の人形作りました! とてもうまくつくれたのですよ!」
「わぁ! 凄く……似てる? な……?」
すぐそこで得意気な雪兎の声がする。取り出して、そのまま褒めようと思ったのだが、凜の戸惑いは顕著に出てしまうのだが、雪兎は気がついていないよう。
正直、人形はお世辞にも上手とは言えない。
目にしたボタンは互い違いで、しかも片方は今にもとれてしまいそうになっている。それに縫い目の間からは所々から綿がはみ出している。
雪兎が一生懸命に作った凜の人形。
どう言葉を返せば良いものか悩み首を傾げていると、元気の良い雪兎の声が響いた。
「はい、凄く上手にできました……!」
やっぱりその声は上機嫌で、凜はやっぱり首を傾げていた。
暖かい暖炉の温もりに包まれながら、過ぎていくHoly Night。
プレゼント交換が終わったら、一緒に甘いケーキを食べよう。
まだクリスマスは始まったばかり。
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