●星降る海
いつもは、お家でパパやママと一緒に過ごしていた。
でも、今年は今までとは少し違う。
なぜなら……。
十太は照れ隠しに頭をかきながら、莉那のところにやってきた。
「莉那ちゃん、良かったら……その、一緒に海に行かないか?」
それは、十太からの素敵な素敵なお誘い。
「莉那ちゃん、冬の海に行くのは初めてにゃ」
笑顔で莉那は、その誘いを受ける。
その答えに、十太は嬉しそうにニカッと笑った。
(「一緒にいれて、すっごい幸せだぜぇ……」)
そして、当日。
二人は夜の海に来ていた。
寄せては返す波の音が、心地よく響く。
(「まだまだ莉那ちゃんには、知らない事がたくさんあって、出来ない事もいっぱいあるにゃけど、一つずつ、少しずつ覚えていけたら良いにゃ」)
莉那はそっと、隣に居る十太を見つめた。
手を繋ぎながら、二人はゆっくりと砂浜を歩いていく。
(「そして、隣りにはいつも、大好きな十太くんがいてくれたら……」)
莉那はそっと、繋いでいた手を離し、代わりに腕に抱きつく。
「こうすると温かいですにゃ♪」
少し驚いていたようだが、十太も満面の笑みを浮かべる。
「へへへ、あったかいな!」
腕にしがみつく莉那の頭をなでてやりながら、十太は思う。
(「来年もこうやって、彼女と一緒に過ごせたらいいなぁ……」)
「にゅ、そうにゃ!」
海を見つめていた莉那が何かを思いついた。
「莉那ちゃん、砂のお城を作ってみたかったのにゃ。……一緒に作りませんかにゃ?」
「ああ、いいな! 一緒にお城、つくろうぜ」
さっそく二人は砂山を作り、お城を形作る。
楽しそうに時折、笑いながら。
(「そのお城に住むのは、カワイイ莉那姫と十太王子……なんてな」)
十太は思わず、お城に住む自分達を想像し、また微笑むのであった。
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