●スウィートクリスマス?
残り少ない学園生活。黎斗はは思いきって、好きな子・清蓮をクリスマスパーティーに誘ってみた。
黎斗と清蓮は中の良い先輩後輩。だからその関係を進ませたいとは思うものの、自信がなくて出来ないのも事実。そんな自分が情けないなぁとも思いながら、隣で笑っている清蓮を見る。
影の城の舞踏会に誘ってくれたり、最近だとお昼のお弁当を作ってきてくれたりもしている。だから自分としては少し期待していいのかなと思うところもあることはる。
が、自信がない……。
清蓮といえば、黎斗にクリスマスパーティーに誘ってもらえるなんて思っていなかったから、ちょっと早めのクリスマスプレゼントを貰ったような気分でとても嬉しかった。
楽しく話をしながら、賑やかな学校内を歩いていく。
そこでどうしてなのか、闇鍋に参加することにしなってしまった。
互いに食べた鍋は、別の世界に飛び立ってしまいそうになるようなもの。中何が入っていたのかとか知りたくない味を初体験。
早々に闇鍋から立ち去り、ここは口直しの食べ物を探す事にする。
ここなら何かあるかもしれないと、探してたどり着いた先は調理室。
「じゃぁ、私ホットケーキ作りますね」
清蓮が調理室の材料と器具で簡単だけれども、ホットケーキを作ってくれる事になった。
簡単に作れるし、一緒に食べるフルーツなんかを変えていけば、何種類も味を楽しめることが出来るだろうと、清蓮が腕をふるう。
出来上がったホットケーキに、黎斗は桃とリンゴ、それに生クリームをデコレーションしてみる。
「うん、とってもおいしい〜」
一口ぱくりと食べれば、ほのかな甘さとリンゴの酸味がとても合っていて、自然とおいしいと口から出てきた。
そういえば、彼女の作ったお菓子を食べるのは初めてかもしれない。料理上手で得意な子って、何でも作れるんだなと思いながら、どんどんホットケーキを食べていく。
そんな黎斗を見て、清蓮は嬉しそうな笑みを浮かべている。
自分が作ったものを美味しそうに食べてもらえるのは、とても嬉しい。
自分が作ったものを美味しそうに食べてくれる人が好きだな、なんて思いながら、清蓮はそっと黎斗を眺める。
だから……あんまりにも美味しそうに食べてくれるのが、嬉しくて。ついついうっかり、自分の分を食べ損ねてしまった事は内緒なのだ。
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