●二人のプレゼント交換会
黄昏時の教室。
沈みゆく夕陽の西日が緩く教室の中に入ってくる。
そんな教室に学は、クリスマスプレゼントを渡したいからと絣を呼び出した。
学からの誘いに絣もプレゼントを手にし、夕暮れ時の廊下を行く。
向かうのは学ぶが待っているであろう教室。
絣が教室の扉を開けたとき、西日を受けた学が居た。
クリスマスプレゼントはまずは学ぶから絣へ。
小さな鋼板がついたネックレス。鋼板には守護の文字が彫り込まれている。学から絣へ、身を護ってくれるようにと、願いが込められている。
それを手にした学は、絣の背後に回り首につける。
「うん、似合うぞ? 絣」
自分の後ろに回って、ネックレスをつけてくれる学に少しの緊張と気恥ずかしさから、瞳を伏せてじっと待つだけ。聞こえてきた学の言葉にも小さく頷くだけの絣。
「祝福があらん事を……」
学がその言葉を発したとたん、絣の顔が一気に赤く染まった。
「……ぁ……ぅ………ふ、不意打ちは…狡い、ですわ……」
後ろにいた学が、ネックレスをつけ終わった後、そのまま離れることなく、絣の頬にキスをしたから。
今度は絣から学へ。
絣が懐から取り出し、学に差し出したのは小さなお守り。
「ありがとな……絣、で……中身なんだこれ?」
嬉しそうに受け取った学。しかし手に取って速攻、中身を確認しようとお守りの口を開けようとする。
「き、気にしてはいけませんわ! 中を見たら効果がなくなります!! ですから中身を見てはいけませんー!!!」
絣の小さな抵抗ではやめない学。すると絣の声が大きくなり、やめない学の体をぽかぽかと叩く。
もうそれはがぉー。と、食らいつきそうな感じ。
「判った判った。見ないって」
若干中身が何か分かったような学は、見ないと言いながらもその表情はにやにやとしている。
一応は見ないと言ってくれ、開けかけたお守りの口を閉じる学にほっとする絣。
しかしお楽しみは最後までとっておくもの。
学が家に帰ってから、中身を確認しようとしてるなんて、絣は知りもしなかった。
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