●あっとほーむぱーてぃー
リズミカルな包丁の音。
じゅううっと何かを焼いている音。
そのどれもが、翠にとって嬉しく感じる。
ここはシフォンの部屋。
今日は彼女の部屋で二人っきりの幸せなクリスマスを過ごす事になっている。
クリスマスにちなんで、翠はサンタの帽子までかぶっている。
と、美味しい香りが、翠のいるコタツのところまでやってきた。
お腹が鳴りそうだが、ここはじっと我慢。
「翠ちゃん、お待たせ〜。まずはローストチキンよん♪」
シフォンがエプロン姿で、次々とコタツの上にご馳走を並べていく。
「わあ……凄いですね、シフォンさん。これ全部、一人で作ったんですか?」
「もっちろん♪ でも、ちょっと時間かかっちゃったわねぇ」
最後に大きなショートケーキを運んで、シフォンも翠の隣に座り、ごそごそと何かを取り出した。
「はい、メリークリスマス、翠ちゃん♪」
ぐるりと翠の首に巻かれたのは、手編みのマフラー。
「とっても暖かいです……ありがとう、シフォンさん。このマフラー、大切にしますね」
翠は嬉しそうにマフラーを受け取った。シフォンも嬉しそうに瞳を細める。
と、翠もにこっと微笑んで、シフォンにプレゼント。
「え?」
「メリークリスマス、シフォンさん」
翠から手渡された箱。それをシフォンが開けてみると。
「ネックレスに……イヤリング……」
ピンクパールのネックレスにイヤリングが入っていたのだ。
「ありがとう、翠ちゃんっ」
シフォンは嬉しさのあまり、ぎゅっと抱きついて、翠の頬にキスをした。
「それじゃ、冷めないうちにはじめましょうか♪」
そういって、シフォンは翠の為に料理を切り分けていく。
「はい。もう、ボク、お腹ぺこぺこです」
くすくすと笑いあい、アットホームなパーティーが始まったのであった。
ご馳走もなくなり、残るはケーキ。
気がつけば、二人とも先ほどプレゼントされたものをずっとつけていた。
ぽかぽかと暖かいマフラーに。
きらきらと輝くネックレスにイヤリング。
「翠ちゃん、はい、あーんっ」
「あーん」
こうして二人の暖かいパーティーは、ゆっくりと終わりを告げるのであった。
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