神薙・七歌 & 青葉・弥生

●星明りのメリークリスマス

 公園での待ち合わせ。
 時間は空が黄昏色から闇色へと変わる頃。
「七歌〜、こっちこっち!」
「あ、弥生」
 弥生の声に、七歌の耳がぴくんと動く。
 二人は笑顔で、公園の時計の下で合流を果たした。
 今日はクリスマス。
 だからと、二人の手には素敵なプレゼントが用意されていた。
「待たせてしまったかしら?」
「ううん、うちも来たばっかりだし」
「それならいいわ。はいこれ、プレゼント」
「わあ、ありがとうっ! じゃ、うちからも七歌にプレゼント♪」
 二人は互いに持ってきたものを交換し、ほくほくした顔で目配せする。
 にっと微笑み、一斉に中を開けてみた。
「あったかそうなマフラー! ありがと、七歌」
 さっそく首に巻いて、弥生は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「カーディガン……しかも手編み」
 ふわりと笑みを浮かべ、ぎゅっとそのカーディガンを抱きしめる七歌。
「このマフラーも手編みだよね。嬉しいよ」
 そう続ける弥生の言葉に七歌は頬を染めながら、貰ったカーディガンをさっそく羽織る。
「私も大事にするわ……」
 二人は近くのベンチに座り、楽しくおしゃべりを始めたのであった。

 数時間後。
 空には星が瞬きはじめていた。
「くしゅん」
 七歌は小さくくしゃみをした。それだけでなく、僅かに震えている様子。
「寒くないの?」
 思わず弥生が尋ねるものの。
「べ、別に問題はないわ」
 といって、七歌ははぐらかす。
(「うちはコートとかマフラーがあるからいいけど……」)
 どう見ても、弥生よりも寒そうな格好をしている七歌には、ここは辛い場所だろう。
「七歌、ここに来て」
 弥生はぱんぱんと自分のひざを叩いた。どうやら、そこに座れということらしい。
「弥生?」
 首をかしげ、なかなか座ろうとしない七歌。
「私が座ったら重いわよ?」
「そんなの平気だよ。七歌軽いでしょ?」
 弥生の言葉に眉をひそめて、なかなか座らなかったが、最後にはちょこんと座ることにした。
 するとふわりと暖かいものが掛けられる。
 先ほどプレゼントしたマフラーに、暖かい弥生のコート。
「……暖かい……」
「でしょ?」
 ぎゅっと七歌を抱きしめ、弥生は嬉しそうに囁いた。
「メリークリスマス、七歌」
「……メリークリスマス、弥生」
 二人は笑みを浮かべながら、もうしばらく公園で過ごすのであった……。




イラストレーター名:あにゅ