●聖なる夜はやっぱりここで…
朔之助は鼻歌を歌いながら、ツリーに飾り付けをしていた。
ここは、二人の所属する白銀寮。
この寮で行われるクリスマスパーティーの準備をしているのだ。
「ご馳走が出来たよ」
陽は出来たばかりのご馳走をテーブルへと並べていく。
美味しそうなチキンにケーキ。それに買ってきたシャンパン。
次々にテーブルが美味しいご馳走に彩られていく。
「あ……」
ツリーを飾り付ける朔之助の手が止まった。
どうやら、部屋の窓から何かを見つけたらしい。
「陽、ほら! こっちこっち!!」
「え……? ちょっと、ま、待って朔」
反射的に陽の手を朔之助が掴むと、そのまま手を引っ張って嬉しそうに窓際へ。
陽はいきなりのことで、何があったのか分からないまま、少し慌てた様子ながらも朔之助に手を引っ張られるままについていく。
「ほら……やっぱり雪だぁ……♪」
嬉しそうに朔は窓の外を眺める。
外ではふわふわと白い雪が降り始めていた。
「え?」
窓際まで来て、陽もやっと気づいたようだ。
「ほんとだ……」
朔之助の隣で陽は、そう呟くように窓の外を見つめている。
「雪、積もるかな……?」
「積もるといいね……」
ふと、同時に顔を見合わせ、笑みを浮かべた。
少し照れくさそうに、けれど嬉しくて。
皆で騒いだり離したりするのも、すっごく楽しい。
けれど、皆が来るまでは。
少しだけ、2人でこうして居たい。
朔之助と陽はまた、視線を窓の外へと移した。
ゆっくりと降っていく雪。
そっと寄り添い、重なり合う手。
互いの手から感じる暖かい温もりが心地よい。
そんな温もりを感じながら、二人はぎゅっと握り返した。
優しく、けれど、離さないようにと。
大切な日を過ごす場所は、大切な場所で。
| |