●Holy Nightにくちづけを
こんなにも嬉しく思うのは、やっぱり、今日が特別な日だから?
それとも、あなたが側にいてくれるから?
答えがすぐに出なくても、本当はかまわない。
二人で楽しめれば、それでいいのだから。
軽い足取りで、二人が向かうのはクリスマスパーティーが行われる会場。
「今年もたくさんの人達でいっぱいね」
そういうハルに、隣に居た蒼馬は頷く。
「うん。ぶつからないよう気をつけないとね」
二人は微笑み、会場内へと足を踏み入れた。
楽しげな曲に、ゆっくりとしたバラード、軽快なワルツ。
様々な曲が流れ、その曲にあわせて、数多くの人々が踊っている。
「そろそろ……休憩しましょう」
「そうだね……」
会場の隅に逃げるようにハルと蒼馬は移動する。
「ちょっと、踊りすぎたかしら?」
「うーん、そんな感じはしなかったけど」
ちょっと疲れたねと微笑みあう。近くにある椅子に腰掛け、ジュースを手に取った。
冷たいジュースが心地よく感じる。
オードブルの料理もいくつかつまみ、気持ちも体もリフレッシュしていく。
「ハルちゃん、ちょっと抜け出そうか?」
蒼馬の提案に。
「抜け出す? なんだか秘密のパーティーに行くみたいね」
「そうかもしれないよ。なにせ、二人っきりで行くんだから」
くすりと微笑み二人は、まだ賑やかなパーティー会場を後にしたのであった。
二人以外誰も居ない場所。
空からは白い雪が舞い降りてきていた。
「それじゃ、始めようか」
「ええ」
二人は揃って持ってきたものを互いの前に差し出した。
「「メリークリスマス!」」
綺麗にラッピングされた贈り物は、クリスマスプレゼント。
ハルが用意したのは、黒のロングマフラー。
蒼馬が用意したのは、小枝のブローチがついた、白いベレー帽。
どちらも、二人に良く似合っていた。
「ありがとう、蒼馬さん」
「こちらこそ、ありがとうハルちゃん」
嬉しそうに微笑みあい、大切なプレゼントを受け取る。
二人はもう一度、辺りを見渡した。
やっぱり、二人以外、誰も居ない。
にこりと笑みを浮かべ、互いの顔がゆっくりと近づく。
そして、その唇を重ねた。
長くて短い幸せな時間が、過ぎていく……。
「ハルちゃん、来年も2人でクリスマスを過ごせると良いね」
「ええ。特別な夜をまた過ごしましょうね」
二人は雪の降る夜空を見上げながら、また賑やかなパーティー会場へと戻っていくのであった。
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