津雲・星彦 & 桐山・ゆう

●Merry Christmas Tree

 星彦のいる結社にツリーが置かれた。飾りつけはこれから。
 星彦はツリーの側に飾りを運んでくる。
 いつもは学園の制服を着ている星彦。けれど、今日はジャケットと細身のデニムを着ている。
「星彦、手伝いに来たぞ」
「ああ。待ってたぞ、桐山」
 そこに現れたのはゆう。彼女も今日はいつもと違う服装をしている。
 動きやすい服装が主なのだが、今日は珍しくスカートを履いてきていた。
 荷物を置いて、駆け寄る星彦の視線が、ゆうの姿で止まった。
「スカートも似合ってるよ」
 初めてみたゆうのスカート姿。素直に綺麗だと思い、星彦はしばしの間、見とれていた。
「……ありがとう」
 星彦に褒められ、ゆうは照れたように微笑んだ。

 二人で仲良く、ツリーを飾り付けていく。
 モールが絡まっている星彦に思わず笑みを浮かべるゆう。
 笑うゆうにつられるように、星彦も微笑んだ。
 リボンに、銀と青のボール、星彦がからまったモールを巻いていく。
 もちろん、イルミネーションの小さな電球も取り付け。
 最後にツリーのてっぺんに星を飾れば、ツリーは完成。
「電気を消すぞ」
 星彦は部屋の明かりを消し、ツリーのイルミネーションを灯した。
 きらきらと輝く明かり。街で輝くツリーには及ばないが。
「綺麗だな」
「……ああ」
 ゆうは完成したツリーのイルミネーションに心を奪われているようだ。
 彼女の隣に居る星彦もまた、その出来栄えに喜んでいる。
(「いつもいる場所が、別の世界になったようだ……」)
 心の中で呟いて。

 ぱちっと、部屋の明かりが灯された。付けたのは星彦。
「それじゃ、買出し行くか」
「荷物持ちは任せてくれ……!」
 星彦の声にゆうは張り切った様子で叫んだ。
「頼りになる!」
 そういって、星彦は笑みを浮かべた。
 綺麗な服を着ているのだから、自分が持とうと星彦は心の中で考える。
「まずは鶏肉と……ケーキはどんなのがいいかな?」
 そう、ゆうと相談しながら出かける用意を始める星彦。
「あ、電気はもったいないから消して行こ」
 かちっと電気が消える。
 部屋には二人とツリーだけ。
「メリークリスマス」
 静かな部屋の中で、二人の小さな声が響いた。




イラストレーター名:右京みやこ