●サプライズは突然に
楓の所属する結社の一室。
そこが楓の自宅となっていた。
今、そこに部屋の主はなく、別の人物が部屋のキッチンに立っていた。
「♪ 〜♪ クリームはこれくらいでしょ〜か?」
鼻歌交じりでクリームを泡立て、味見をするのはオーレリア。
食卓には次々と美味しそうなご馳走が並べられていく。
けれど、その中央が異様に空いているのは……気のせいだろうか?
食卓に並べられたご馳走を満足げに見下ろしながら、オーレリアは、最後の仕上げにかかったのであった。
いつものように家に帰ってきた楓。
がちゃりと扉を開け、見知った靴を見つけた。
「オーレリアか」
靴を脱いで、部屋へとあがる。
だが、声がしない。
居間へ行き、電気をつけると。
「お帰りなさいませ〜〜お風呂にしますか〜〜お食事にしますか〜〜それとも私ですか〜〜?」
食卓テーブルに横たわるオーレリアの姿を発見した。
しかも、オーレリアの体の上にはクリームやフルーツなどが盛られている。
一瞬、楓は部屋を出て行こうかとも思ったが、何とか思いとどまり。
代わりに楓の口から、ふーっとため息が一つこぼれた。
「折角のクリスマスなので〜〜プレゼントに来ました〜〜」
何か言いたげな楓にオーレリアは続ける。
「約束しましたよね〜〜誕生日の分も含めて〜〜心を込めて送りますって〜〜」
だから約束通りちゃんと受け取ってください……そう、眼で訴えかけながら、じっと待っている。
「お風呂にしますか〜〜お食事にしますか〜〜それとも私ですか〜〜?」
もう一度、問われたオーレリアの質問に、楓はため息と共に答えた。
翌日。
楓は昨日の食べすぎと筋肉痛で、動きがいまいちスッキリしていない様子。
それでも、楓は用意された朝食を残さず食べている。
一方、楓の向かい側に座るオーレリアは。
いつもよりも三割増しで、肌艶が良くなっていた。
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