●Un secret seulement pour 2
楽しいパーティーも、もう終わり。
月と淡幽は、手を繋ぎながら家路を進む。
その途中、二人はそろって、素敵なものを見つけた。
イルミネーションの中、一際煌びやかな存在感をかもし出す、素敵なクリスマスツリーを。
二人はそっと、そのツリーに近づき、足を止める。
月はその瞳をきらきらと輝かせながら、ツリーを見上げた。
「わぁ……! すごい……綺麗ですね〜!!」
「うん、そうだね……」
淡幽も興奮する月の隣で、微笑みながらツリーを眺める。
二人だけで、そのツリーを眺めていた。
どのくらいの時が経ったのかはわからない。
けれど、いつの間にか、ふわふわと雪が降ってきた。
舞い落ちる雪と、煌くツリーのコントラスト。
その景色は一層、ロマンチックなものへと変わっていく。
二人一緒に素敵な景色を見られる……それが嬉しくてたまらない月。
月はそっと、淡幽に寄り添う。
淡幽もその月に気づいたのか、寄り添う月を抱き寄せ、自分の腕の中にいる月を優しく見つめた。
「……? 淡幽?」
その淡幽の突然の行為に驚き、少し照れながらも、問いかけるように見つめ返す。
きょとんとする月に、淡幽は笑いかけ。
「……えっ!?」
淡幽はそのまま顔を近づけた。一方、月は驚き、ギュッと目を閉じる。その身は硬く緊張し、頬は真っ赤に染まったまま……月は俯いてしまった。
「………」
少し困った顔で微笑み、淡幽は震える月の髪を優しくなでていく。
月は淡幽になでられ、安心したのか顔を上げ、はにかむように笑みを浮かべた。
淡幽も月に穏やかに笑いかけ、もう一度顔を近づける。
そして、二人は唇を重ねた。
初めてのキスは、少し冷たくて……でも、心は暖かくて……。
そっと唇を離し、顔を見合わせ、笑いあう。
「「……大好き……」」
そう同時に囁きあう言葉。
それは二人だけの秘密の呪文。
ふわりと舞い落ちる雪に誓うように。
二人の永遠を祈るように。
ゆっくりと月と淡幽は、煌びやかなツリーを見上げたのであった。
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