●クリスマスでも変わらぬ二人?
クリスマスだからっといって、何か特別な事を過ごすわけではない。
ただ普段よりも少し豪華な食事と、一緒に居られる時間が長いこと。
一緒にいる時間が長くて嬉しくて幸せに思っているのは鉄斎の方。秋といえば豪華な食事とテレビが楽しくて仕方ない。……が、それはいつものこと。
こたつの上に並べられたチキンやケーキを次から次へと押しそうに食べていく。
そんな彼女を慈しむように見つめている鉄斎。
想い起こせば、自分が一目惚れをして交際を申し込んだ。二つ返事をもらったものの、理由は断る理由がないからといういかにも秋らしい返事だった。
嘘がつけないという秋が彼氏の鉄斎よりも、友達の方が大事だと公言してやまないのから、多分その言葉に嘘はないと思う。
――――――けれども。
二人は結婚の約束を交わしている。
「そういうつもりなのか?」と、聞いてきたのは秋の方から、その言葉に鉄斎の心臓は止まりそうなほど驚いたけど、彼女はあっけらかんとしたその様子と、その言葉に恋人同士になったんだと思った。
今までの出来事が走馬燈の様に浮かんでくる。
2年近く前に一目惚れをし、夏前に恋人同士になった。
テレビや料理に夢中な秋だけれども、しっかりと膝に感じられる彼女の存在がそこにあるだけで鉄斎は幸せな気分になる。
「折角だから、外にでも行きますか? イルミネーションとか綺麗ですよ?」
「んー」
折角だからという鉄斎の申し出を、寒い寒いと身震いしてその背を彼に預けた。
そんな様子の彼女を笑う鉄斎。
「確かに寒いですね……じゃあ、コタツで暖まっていましょうか?」
「うん」
背を預けてくる秋の体を抱きしめる。食べるのに邪魔にならないように、彼の手はちゃんと彼女のお腹の上にあった。
普段と特別何も変わらないけれども、それがもの凄く幸せに感じることが出来る。
だから今日はこのまま一緒に、ずっといよう。
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