●プレゼントをくれるのはサンタさんでしょ?
プレゼントを渡すのならサンタクロース。
それはクリスマスのお約束ごと。
だから瞳亜はサンタクロースの衣装を着て、羅偉の部屋を訪れる。瞳亜の格好を見て首を傾げる羅偉に、彼女は楽しそうに笑って告げる。
「プレゼント渡すのはサンタさんでしょ?」
瞳亜は満面の笑みのまま羅偉に、プレゼントを渡す。
「おぉ、ありがとな〜♪」
嬉しそうにプレゼントを受け取った羅偉だが、包みを開けて中身を見てその表情は少し困惑していた。
中に入っていたのは、トナカイの着ぐるみ。
困惑したまま瞳亜を見返すと、変わらず楽しそうな満面の笑みがそこに合った。
「着て下さいませね、羅偉兄さま」
「マジか〜」
トナカイの着ぐるみと瞳亜を交互に見返す羅偉。そんな彼の様子にくすくす笑う瞳亜。
瞳亜の楽しそうな様子には羅偉も勝てない。困った表情の羅偉は仕方ないなと、トナカイの着ぐるみに着替える。
「だって、こうすればクリスマス中はずっと一緒ですもの、ね」
無邪気な瞳亜の笑顔。
そうしてふたりは手を繋ぎ歩き始める。
今日はクリスマス。
サンタとトナカイはプレゼントを配らなければならない。
屋敷の中の人たちひとりひとりにプレゼントを配り歩いていく。
大きな屋敷の中を笑顔でプレゼントを渡し歩いていく、サンタとトナカイ。
二人が最後にたどり着いたのは食堂。
「俺からのプレゼントはこれな」
トナカイ羅偉が冷蔵庫から取り出したのは、彼手作りのクリスマスケーキ。
「夜に食うと太っちまうか?」
「今日は特別ですもの」
大きなダイニングテーブルの上にケーキを置きながら、羅偉が瞳亜に尋ねると、瞳亜は笑顔で頷き答える。
今日は1年の中でも特別な1日。
クリスマスケーキをクリスマスに食べなければ、なんとなく普通のケーキを食べてしまう気分になってしまうから。
ダイエットは明日から、なんて言いながら今日は羅偉の作ったクリスマスケーキを瞳亜は美味しそうに食べていく。
今日のこの素敵な日に、全ての人たちに幸せあれ。
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