伊波・琴音 & 允雪・守元

●『愛情・・い・・っぱい♪』『砂糖もね♪』

 今年恋人同士になった二人、今日はクリスマスケーキ作りにチャレンジ。
 琴音は料理が苦手。
 守元は家事全般が大得意。
 だからその差を縮めるためのチャレンジだったはず。
 案の定というか予想通りというか、守元に手取り足取り教えて貰っている琴音。
「むぅー……だま……なる……ぞー……?」
「もうちょっと綺麗にかき混ぜたほうがいいかな、貸してね、琴音」
 クリームを混ぜればなかなか思い通りのふわふわホイップにならず、悪戦苦闘の琴音から守元はボウルを借りて泡立てる。
 良いところ見せようとおもったけれども、これじゃあうまくいかない。
 それならと、気を取り直して飾るだけにしてみる。
「むぅー! じゃあ……デコレ……なんだ♪」
 守元に綺麗に泡立ててもらったクリームを受け取ると、絞り袋に入れてデコレーション開始。
「むぅ……? 写真みたいに……なら……ないなー……?」
 クリームが綺麗に絞れず手にクリームがつく。苺も真っ直ぐにたってくれない。
 目の前にあるレシピ本の写真とはほど遠い。
「あわわ……琴音、がんばるんだっ」
「がんば……るー!」

 綺麗にクリスマスカラーに彩られた部屋の中、二人の奮闘は続く。
 涙目になりながら頑張る琴音とほんの少し応援が悲しい守元。
 相手に美味しいケーキを食べさせたい。そんな想いがあるからがんばれる。
「あ……綺麗になってきた……なー……?」
「美味しそうになってきたね」
 デコレーションは順調。
 琴音のちょっと変なデコレーションの上から、守元が綺麗にクリームを塗っていくと、それは店頭に並んでいてもおかしくないぐらいのできばえに早変わり。
「はや……くー……。はや……くー……♪」
 そんなケーキを見れば琴音は、食べるの専門に早変わり、早く食べようと守元をせっつく。
「うん、これで、ばっちりだ! お待たせ、琴音、メリークリスマス♪」
「メリー……クリスマス……♪」
 そうこうしているうちに、すぐにケーキは出来上がった。
 赤い苺が綺麗に並んだ、可愛いデコレーションケーキ。

 琴音のチャレンジが成功したかどうかは分らないけど、一緒に食べるケーキは幸せの味がした。




イラストレーター名:熊虎たつみ