●熊(着ぐるみ)+犬(狼じゃねー!)=ラブラブ?
学園の中で色々と執り行われているクリスマスパーティー。
その中のひとつに結社の仲間と参加する快斗と全。その姿は動物のコスプレ。
意気揚々と全は月の輪熊の着ぐるみを着ている。
そんな彼女の様子を見ている快斗は、犬耳と犬尻尾というシンプルな装い。
「勝利と同じ着ぐるみなんだ! もふもふもふもふ。って言うんだ。可愛いだろ!?」
「あー、かわいいかわいい」
嬉しそうにしゃべる全の頭を撫でる快斗の意識は別のところにあったとか。
(「それにしても全のやつあんな着ぐるみ着てたらこけそうだなぁ」)
この後ジェンカを踊ることになっているのだけれども、その時には彼女がこける事を想定してすぐに支えられるよう、彼女の後ろに居ようと考えていた。
先輩の生歌で、ジェンカがスタートした。
一人から始まったダンスは、時間が経過するごとに長くなってくる。
大分と列が長くなってきた頃、快斗の前にいる全がフラフラしだした。
「着ぐるみって前が見えにくいし、動きずらい〜!」
「ん? 大丈夫か?」
「あんま大丈夫じゃないかも……って、うひやあぁぁぁ〜〜〜!」
着ぐるみもふもふで楽しくジェンカを踊るけれども、動き辛い上に視界も悪い。そうしてそんな条件が重なれば、快斗の予想通り全の体が前のめりに倒れていく。そんな彼女の体をすかさず抱きかかえる快斗。
「ふー。やっぱこけると思った……」
「ご、ごめんなさい……」
着ぐるみから見える頬が赤くなっているのは、快斗に抱きかかえられた全は、嬉しいのからか、それとも恥ずかしさからか。そのまんま視線は快斗に向けられ、謝ったあとに「ありがとう」と、お礼の言葉が付け足された。
そんな全の仕草や表情を見た快斗も曖昧に返事する。
(「可愛いなーなんて思うなんて結構重症か?」)
頬を赤くしてちょっと伏せ目がちな彼女の様子が、ぐっと胸にきたりきなかったり。
そんなふたりが恋人同士になるのはもう少し先の出来事。
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