●最愛の人と
折角のデート、早めに待ち合わせ場所に到着しておきたいなと、湊が10分前に待ち合わせ場所に到着。と、同時に見つけたのは叉夜の姿。彼女も彼と同じ気持ちで同じタイミングに待ち合わせ場所に到着したのだった。
思わず顔を見合わせて笑い合う二人。
こんな風に始まったデートはきっと楽しいに違いない。
「叉夜の似合いそうな洋服、俺が選んでやんぜ!」
向かったのはショッピングモール。ぬいぐるみ売り場とかを一通り見て回った後はレディース売り場にやってきた二人。そこで湊は叉夜に似合う服を選ぶとノリノリ。
赤色の上品なワンピース。
桜色のお嬢様風スカート。
その他にも色んな種類の服を試着してもらってみる。
「やっぱり叉夜は赤色が似合うなー」
「うふふ。わたくしも、赤色は大好きですわ」
あれやこれや。あーだこーだと色々話したり、選んだりしているのがとても楽しい。そうして選んだのは一番最初に着た赤色のワンピース。
「今度はその服で遊ぼうぜ!」
湊は照れながらも次のデートの話をする。
沢山遊べば、陽が暮れ出す事にはお腹も必然的に空いてくる。
予約なんかはしてなかったけれども、まだ比較的空いているイタリアンのお店を見つけた二人。
そこは小さいけれども、とても雰囲気がよく、出てくる料理もとても心が温まるように美味しい。
雰囲気も良く、料理も美味しければ自然と話も弾み、ふたりは色んな事を話す。
お互いの家族のこと、学校の事、そうしてこれからの事。
「湊さまは、将来の夢とかありますか?」
「そうだな…良い旦那さんだな!」
叉夜からの質問に、きりりっと表情を整えてから答える湊。
そんな彼の仕草や表情がおかしくて、そうしてそれがちょっぴり嬉しくて叉夜はコロコロと楽しげな笑い声を上げる。
食事を終わらせた後は、その辺りをぶらりと散歩してみる。
もう陽もすっかり沈み行き、そろそろ帰らなければならない時間が迫ってきている。
互いに思うのはもう少しだけ、この時間が続けば良いと思うこと。
このまま離れて帰ってしまうのが寂しく思う湊。歩いていた足を急に止めて、隣の叉夜の体を突然ぎゅっと抱きしめる。
この愛しい時間が、終わってしまうのが寂しい。
彼女を思う気持ちはしっかりと彼女にも届いていて、そっとためらいがちに湊の背を抱く叉夜。
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