仙風・彰人 & アラストール・セブンセントラル

●『計画通り!』 『……こっ、この馬鹿者がー!』

 孤児院の子供たちのためにプレゼントを渡しに行く彰人と、そんな彰人に強引に誘われて来たアラストール。
「何で僕が……」
「まー良いじゃんか」
 ぶつぶつと文句を言うアラストールに軽く笑い飛ばす彰人。

 到着した孤児院で渡されたサンタ衣装に、着替えようとしているときに事件は起こった。
 なぜかサンタ衣装は男性もの二着ではなく、男女一着ずつだった。しかしこれは彰人の仕掛けた罠。そんなことなど知らないアラストールは困惑する。
「何で僕が女服なんだ!? お前が着ろっ!」
「いや、俺の体格だと入らねーし。お前なら華奢だし入るだろ?」
 それが当たり前のように彰人がアラストールにレディース用のサンタ衣装を手渡す。それをちょっと待てと、突き返そうとするアラストール。
 しかしそんな事でめげる彰人ではない。いやいやと、まさにそれが正解だといわんばかりに、理路整然とさらりと言ってのける。アラストールもそうかもしれないと、手に持ったサンタの衣装と彰人の体を見比べる。
 そのまま流れに逆らえず、アラストールは渋々とレディース用のサンタ衣装を着ることとなった。

「ぼ、僕は本当に嫌なんだぞ! こっちを見るな馬鹿者っ!」
「わはははは! その割に胸に詰め物までしてやる気満々じゃねーか」
 着替え終了後、更衣室からアラストールの声が響く。思ったよりもサンタ衣装のスカート丈が短く、顔を真っ赤にしながらお尻を押さえている。そんなアラストールの様子が楽しくて大きく笑う彰人。女顔のアラストールに女装させるのが面白くて、胸を指さしてはまた楽しげに笑う。
「……と、とにかく見るなー!」
「痛! いやいや、よく似合うぞ!」
 笑う彰人にそこら辺にあったものを投げつけて、応戦するアラストール。がつん。と、投げたものが彰人に命中。痛いといいながらも、やっぱり顔は楽しそう。
 そんなことをしていると、別室から楽しげな子どもたちの声が聞こえてきた。
「そろそろ行くか! 今日は可愛いサンタも連れて来てやると言っといたからな。皆楽しみにしてるぜ?」
「……子ども達の為だ、真摯の魂を見せろ僕、ガッツだ」
 子どもの声が聞こえてきた事によって、そっちに向かおうかと彰人が、子供たちの待っている部屋を指差す。覚悟を決めるアラストール、両手を握りしめると自分に気合いを入れる。

「メリクリ! 待たせたなお前達!」
「さ、サンタさんが着た……ぞ………着ましたよぉ〜」
 扉を開けて彰人の後にアラストールが続く。
 後は子ども達の嬉しそうな歓声と、楽しそうな笑い声に満ちあふれた。




イラストレーター名:椎鳴みなづき