●幸せだね
今日はどこも賑やかなクリスマスの日。
けれど、忍とリネの二人は静かな公園のベンチに座っていた。
ちかちかと、近くの電灯が灯りだす。
「あっ、あの……ぼ、帽子がずれています」
そっと忍の帽子を直すのはリネ。
「あっ、ありがとうっ!」
ちょっぴり……いや、だいぶ緊張している二人。
でも心の中はとても幸せで。
「え、えっと……寒いね」
「そ、そうですね」
そういうリネに忍は自分のマフラーをそっと、リネにも回す。
この日のために長めのマフラーを持ってきた……というわけではなかったが、忍は我ながらいいマフラーを持ってきたなと心の中でほっとしていた。
これで、しばらくは一緒にいられる……。
「ぷぷ、プレゼント、ですか?」
思わずリネの声が裏返る。忍は頬を染めながら、こくりと頷いた。
「ううう、受け取って、くれる?」
忍の言葉にリネは。
「ちょちょ、ちょっと待ってくださいっ」
あわあわとリネも何かを取り出した。
二人が手にしているプレゼントは、同じ大きさ。
「えええ、えっと、プレゼント交換、ですねっ」
どきまぎしながら、二人は震える手で互いのプレゼントを交換した。
ラッピングを解くと、そこには……。
「ゆゆゆ、指輪ですっ」
リネには、アクアマリンの指輪が、忍にはペリドットの指輪が贈られる。
しかも、話し合って決めたわけでもないのに、お揃いの形であった。
「ゆゆゆ、指輪ありがとうご、ございますっ」
「おおお、俺もっ、俺もありがとうリネちゃん!」
「ここここ、こちらこそっ」
「だ、大事にするねっ」
二人の指には電灯と雪明りで、きらきらと輝く指輪があった。
彼らの指輪につけられた宝石は、互いの瞳の色と同じ。
いつも一緒にいるという、願いが込められていた。
「き、綺麗……ですね」
「う、うんっ」
二人は指輪を見せあいながら、幸せそうに微笑みあうのであった。
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