●『寒いだろ?こっちに…』『調子に乗らないの!!』
今日はクリスマス。
街では、ショッピングを楽しむ人々でいっぱいであった。
それぞれの店で流れる、楽しげなクリスマスソング。
そんな中、とある店に入っていく二人の姿があった。
「ねえねえ、これなんてどう?」
真琴は、見つけた服を自分の前にかざす。
「おっ、いいんじゃねー? すっげー似合うし」
優は満足げな笑みを浮かべ、そう答えた。
「じゃあ、買っちゃおうかな」
値札を見ながら、もう一度悩む真琴。
「……うわ、ちょっと高いよ、これ……」
二人は今、こうしてショッピングを楽しんでいる。
気に入った店に入り、気に入った服を見つける。
けれどなかなか買わないのは、その値札のせいかもしれない。
結局、ここでも何も買わずに出てきた二人。
「良かったのか? 結構、似合ってたと思ってたんだけど」
「うーん、ちょっとね。もう少し考えてからにしようかなって」
真琴の言葉に、優はちょっぴり残念気味。
と、そのとき。
「くしゅん」
小さくくしゃみをした真琴。どうやら、外の寒さでくしゃみが出てしまったらしい。
それを見て、優はぴーんと来た。
「寒いだろ? こっちにこいよ」
自分の着ていたコートの前を開き、真琴を引き寄せようとする。
「調子に乗らないの!!」
とか言いながらも、真琴は優の側にいる。
頬を赤くさせながらも、応じる真琴に優は笑みを浮かべた。
「うん、ドラマとか見ておいてよかったよ」
「何か言った?」
「真琴はかわいいなって」
「バカっ!!」
優の偏った知識のおかげか、こうして二人は、幸せなクリスマスを過ごしたのであった。
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