<リプレイ>

 のどかな昼下がり。
 長谷川・千春(中学生運命予報士・bn0018)の元に、結果が届けられる。
 それを愛用の手帳に挟むと、千春は楽しそうに、スキップしながら歩みだす。
「さて、もう一回、喫茶店を回ろうっか♪」
 今年もまた、楽しい喫茶店ばかり。
 果たして、今年の優勝は?

●まずは第3位の発表です!
 ちりんと、風鈴が鳴る。窓から吹く風が揺らしているのだ。
 店の中には昭和の時代を感じさせる古びた扇風機が回っており……。
「うわあ、何だかタイムスリップした気分だね」
 店内をぐるりと見回し、千春は思わず呟いた。
「いらっしゃいませー。杏さんとレトロさんも、はい、挨拶」
 千春を出迎えるのは、結社で飼っているらしい2匹の犬と、袴にエプロン姿の八伏・弥琴(青空へ捧ぐ・b01665)だ。弥琴に促され、2匹の犬達もわんと挨拶をくれる。
 赤い敷布に赤い番傘、野点風の座席にい草の座布団。そして、それぞれの席には団扇を備え付けられていた。いや、それだけではない。
「ふーっ。これ、とっても気持ちいいよ」
 店の中でお客としてきていたクリス・ファーレン(たけのこ・b04365)。その足は冷たい氷と水の入ったタライに浸され、なんとも気持ちよさそうである。
「千春、いらっしゃい。注文は何にする?」
 レトロな学ランに前掛けをつけた梶原・玲紋(アトミックブレイン・b03595)が、席に座った千春に声をかける。
「わあ……駄菓子にラムネとか、なんだか懐かしいラインナップだね! しかも、おみくじも引けちゃうんだ。いいねー♪ 私も引いてみようかな? ……あ、ちがった。実はお客としてきたんじゃないの。団長さん、いるかな?」
 千春に尋ねられ、玲紋は奥で、お菓子やら即席メニューやらを用意するウィル・アルトリオス(渡る碧落・b29569)を呼んだ。
「あれ? 千春さん、何か御用ですか?」
 ひょっこりと姿を現すウィルに、千春はぺこんと頭を下げて。
「おめでとうございます! 旧校舎の一角さんのおみくじ付き駄菓子&レトロ茶屋『旧校舎』が見事、3位に選ばれました!」
「ええっ!? ほ、本当ですか? あ、ありがとうございます!」
 ウィルは、陰ながら、お客に喜んでもらえるよう、工夫を凝らしていた。もしかすると、店員を務める団員達も気づかない場所さえも……。
「ウィルさん、やりましたなぁー!」
 紫苑・蛍(硝子蛍色・b17366)に声をかけられ、ウィルは嬉しそうに微笑んだ。

●次は2位の発表ですっ! って、あれ? オープンカフェ? それとも神社?
 千春は手帳を見ながら、あたりを確認する。
「あ、あれ? 昨日はイングリッシュ・ガーデン風のオープンカフェ……だったんだよね?」
 事前情報によると、鉢植えのハーブや小振りの愛らしい薔薇のアーチがあり、白いテーブルに椅子が置かれた、アイスクリーム屋さんだと書いてあった。
 だが、今はどうだろう。
 提灯燈る小さな神社に、鉢植えの朝顔や、真っ直ぐに伸びる向日葵が飾られている。
 看板には、カキ氷の文字が。
「こ、こんにちはー」
 恐る恐る入ってみると、エプロンをはずしかけていたアリア・アマティ(星降・b12345)が千春の姿に気づいた。
「あ、いらっしゃいませ! お客様ですよー」
 アリアはエプロンを付け直しながら、店の奥へと声をかけに行く。奥の厨房では、賑やかな声が響きだす。
「はーっ! 美味しかった! ロシアンカキ氷でレモンソルベが食べれるなんて、味も見た目も大当たりだな」
 店の中では、友達と来ていたらしい嵯峨野・眞琴(春茜のうた・b17012)がうれしそうに、大当たりを引いたロシアンカキ氷を平らげていた。
「………うわー…マジで大根おろしだ。ポン酢もいいけどなめたけもいいな。もうおかずじゃん! 美味いけど!」
 そういって、束原・キリヱ(クルエラ・b07703)が食べているのは、大根おろしとカルピスが入ったカキ氷。ついでにポン酢とハバネロを自分でかけて、楽しんでいる様子。
「お待たせしました。どうぞ、イチゴです」
 そういって、千春にイチゴシロップのかかったカキ氷を手渡すのは、この店をまとめている四戸・日輝(レプリカブルー・b02492)。
「あ、ありがとう。えっと……その、ここって、オープンカフェじゃなかったの?」
 恐る恐る千春が尋ねると。
「それは昨日ですね。執事とメイド姿になって、オープンカフェを行ったんですよ。今日は見ての通り、カキ氷屋になっています。2日間来て頂いても楽しめるようにしてみたんですよ」
 それよりも溶ける前にどうぞと付け加える日輝。
「ああ、なるほどー。だから、事前の情報とちょっと違うわけなんだー。ではちょっと失礼してもらって」
 急いで千春はカキ氷を食べて。
「ううー、キーンときたーっ!!」
 そんな千春に、日輝は思わず笑みを浮かべた。

 というわけで。
「では、改めまして」
 こほんと咳払い。そして。
「おめでとうございます、銀誓防衛部さん! Cafe de Lionが見事、2位に輝きましたー! 凄いね、確か2連続だよね?」
 千春の言葉に日輝は嬉しそうに頷いた。
「これで、前の団長に良い報告ができそうです」

●ここでちょっとブレイク♪ 気になる特別賞は?
 可愛らしいフリフリのドレスを着た少女が、楽しげにウェイトレスに励んでいる。
 うさぎの耳を付けた少年や、トランプ兵隊の姿、卵型の体型のきぐるみを着た者の姿もある。
 いずれも楽しげにお店の名物スイーツを楽しんでいる様子。
「こんにちはー」
 楽しげな雰囲気に誘われて、千春もその中に入っていく。
「不思議の国にようこそ♪ この扉の先はスィーツショップになってるのよ。お客さんも自分の好きな衣装に着替えて楽しんじゃえるわっ♪ さあ、どうぞ!」
 華神・御守(石段の先の微笑み・b00282)に促されて、千春も更衣室へ。
「うーん、何がいいかな? 迷っちゃうよー」
 たくさんの衣装が用意されている更衣室。しかも一教室丸ごと更衣室しているので、きぐるみでも着替えやすいスペースになっている。
「よし、これに決めたっ!」
 羽根帽子にレイピアを付けた剣士ルックに身を包んだ千春が、更衣室から出てくる。
「とても似合っているぞ」
 そう声をかけるのは、騎士服を着た、ラインハルト・シュバルトクロイツ(ヴァイスフェッター・b45457)。そのまま、千春を席に座らせた。
「ありがとう、騎士様♪」
「じゃ、スイーツはどうだい? どれもオススメばかりだからな!」
 卵型のきぐるみを着た華都・巴(白のエスクリール・b19541)がメニューを持ってくる。
「えっと……白ウサギ型ケーキにトランプ模様クッキー……あ、これいいね! お菓子の家!」
「かしこまりましたー。少々お待ちください」
 巴はそそくさと注文を持っていく。
「ところで、このスペシャルメニューって何かな?」
 その問いに答えるのは、ラインハルト。
「ああ、それは、1人から3人くらいで食べる巨大スイーツだ」
 話によると、これを制覇した者には、風月華浴場ペア入浴券(混浴なし)が貰えるらしい。
「面白そうだけど……流石にこの量は、ちょっと無理かな?」
 メニューにある量を見て、千春は汗を浮かべる。
 と、お菓子の家がやってきたようだ。千春は美味しそうにそれを完食した。

 全てを食べ終え、着替え終えた千春は、学生寮 ◆風月華◆の「着せ替えしよっ♪」不思議の国の洋菓子屋から出た。
「うん、決定! ここが特別賞! あ、ちょっといいかな?」
 店から出ようとするルイン・オーベルエンネス(高校生月のエアライダー・b48674)を捕まえて、千春はインタビューをする。
「このお店、どうだった?」
 その問いにルインは笑顔でこう、答えた。
「愛らしい店員さんたちが、心を和ませてくれる。そんな喫茶店でしたよ」

●いよいよ、栄えある1位の発表です!
「さてっと、最後はここだねっ♪」
 色々食べて、幸せ一杯の千春が最後にたどり着いたのは、少し雰囲気が不気味なお店。
 楽しげに千春は、その古ぼけた扉を開いた。
「「いらっしゃいませー」」
 そこには、ナース姿と医者姿、そして。
「お、お化け!?」
 可愛らしいお化けと、迫力あるお化けもお出迎え。
「うっわー、とっても楽しそうだね!」
 ハロウィンのような賑やかさのあるお店。ちょっぴり怖そうな雰囲気もあったが、中に入ったら、そんなことは微塵も……いや、中には、迫力あるお化け役もいるようだ。
「AEDを持ってるので、急な心臓発作も大丈夫デスよ♪」
 そう、千春に告げるのは、ヒルデガルド・ラング(中学生土蜘蛛の巫女・b33783)。ちなみにAEDとは、自動体外式除細動器のこと。万が一のときは大丈夫……らしい。
 パールヴァティー・ディーヴァ(海援艶女隊・b03123)は、女医の姿をしながら、お客のリクエストに応えて、ヴァイオリンを演奏していた。
 他にもお化け役の者達と一緒に記念撮影ができるスペースも設けられている。
「団長さん、いるかな?」
「それなら、アタシが案内するアルよ〜」
 ミニスカナース姿の楊・美龍(高校生土蜘蛛の巫女・b06795)が、店の奥へと案内していく。
「あんまり無理しちゃいけませんのです」
「うーん、張り切りすぎちゃったみたいっす〜」
 ピンクのナース服姿の柊・エル(スパンキーガール・b40537) が、お化け役の大庭・香奈子(高校生クルースニク・b06760)を看ていたようだ。香奈子の口には、体温計がくわえられていた。どうやら、ちょっと熱が出てしまった様子。
「団長ー、お客様アル!」
「あ、それじゃ美龍ちゃん、香奈子ちゃんをお願いなのです」
「了解アル!」
 美龍に香奈子を託すと、団長のエルがやってきた。
「お待たせしましたです。……って、千春ちゃん? お客様って千春ちゃんです?」
「うん、そうだよ。Hello in Halloweenの団長さんにお知らせがあってね」
 こほんと一つ咳払い。
 千春はゆっくりと、そしてにこりと微笑んでこういった。
「おめでとうございますっ! 栄えある1位に、はろはろinホスピタル☆カフェが選ばれましたっ!!」
 その言葉に、きょとんとしていたエルだったが。
「あ、ありがとうございますです、嬉しいですっ!」
 最後には、とびきりの笑顔を見せてくれたのであった。

「うーん、どれを頼もうかなー?」
 ついでに注文を選んでいる千春。
 役目を無事終えた千春は、このままはろはろinホスピタル☆カフェで、美味しそうなスイーツを食べるつもりだ。
「それじゃ、はろはろ特製ハロウィンパフェくっださいなー♪」
 千春の楽しげな声が、店に響いた。