マリア・エスペランザ & 大和・護

●弟?それとも恋人?

 街の中は賑やかな、クリスマスイルミネーションにクリスマスソングで溢れかえっている。
 明日のクリスマスパーティーの準備の為に、マリアが護を誘って、一緒に買い物へとでかけた。
 クリスマスパーティーの買い物は済んでしまった帰り道。マリアが一軒の可愛らしいお店屋さんを見つけた。
「こんなのどうかしら?」
「もう帰ろうぜ」
 マリアが青い蝶の形をした綺麗な髪飾りを自分の髪にあてがって、護に尋ねてみる。それに護はまるで興味が無さそうに答えるけれども、その視線は彼女がどんなものが好きで、どんなものを見ているのかチラチラと盗み見していた。

 小さな店を後にする頃には、すっかり陽も暮れて冷たい風が吹き抜ける。
「ちょっと冷えてきたな、コート着てくれば良かったぜ」
「コート着てきなさいって言ったじゃない。……そうだ、忘れてた」
 こんなに冷え込むとは思っていなかった護は、少し寒そうに上着を引張ってみる。そんな護にマリアは困った顔をしたけれど、それは何か思いついた様な思い出した様な表情に変わっていく。
「メリークリスマス、護」
 マリアがバッグから暖色系のレインボー・スラブのマフラー取り出すと、クリスマスの言葉と共に護の首に巻いてみる。
 全くの予想外。
 予想もしないプレゼントに首に巻かれたマフラーと、目の前のマリアを交互に見つめてしまう。
「オレも買い物あったの忘れてたぜ」
 何か思いついた護は、アリアにそのままここで待ってろといって、慌ただしく駆けていく。

 しばらくすると、走って行って向ったときと同じように、慌ただしく走って戻ってくる護。
「似合うと思うから買ってきたぜ」
 上がっている呼吸を隠す様にしながら、リボンがかかった小さな包みをマリアに差し出す。
 「ありがとう」と、お礼の言葉を返しながら、包みを受けとり中を開けていくとそこには、さっきのお店でマリアが自分の髪の毛にあてがって見ていた、青い蝶があった。
 マフラーを貰った護は、お返しにとさっきの店まで走って買いに戻っていたのだった。
「どう、似合うかしら?」
 嬉しげに目を細めて、蝶の髪飾りを箱から取り出すと、そのまま自分の髪に今度はしっかりとつけてみる。
 彼女の金髪に青い蝶は誰が見てもよく似合っている。
「け、結構似合うんじゃないのか」
 そんな彼女にドキリとしながらも、ぶっきらぼうに答える護の顔は、知らずに紅潮していた。
「ありがとう」
 そっぽを向く護に更なるサプライズ。
 お礼の言葉と共に、額に落とされたマリアからのキス。
 それには護はただ頬を更に赤くし、耳まで赤くするしかなかった。




イラストレーター名:Asago