●クリスマスデートの帰り道、寄り添う影2つ
いつも賑やかな街中だけど、今日は特別にもっと賑やか。
沢山のイルミネーションに、沢山の人。そうしてその沢山の行き交う人の笑顔がこの日の楽しさを物語っている。
もちろんクリスマスデートに出かけた、蓮と舞依も行き交う人の笑顔に負けないくらいの満面の笑み。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
もう辺りは暗くて、そろそろ帰らなければならない時間。
その前に少しだけ。
さっき見つけたクリスマスツリーを一緒に見にきた。
「蓮〜! ツリーだよー」
「あ、ほんとだー、綺麗だね、舞依」
大きくて、沢山のイルミネーションを纏ったツリーにはしゃぐ舞依に、笑顔を返す蓮。
もう少し一緒にいたいから、ふたりはベンチに座ってツリーを見上げる。
「うな〜♪ 蓮〜…大好きだよー」
「わわっ!? 舞依〜甘えん坊さんだね」
ベンチに座ったとたん、舞依が蓮に抱きつく。
寒いからというのは小さな理由。
大好きで大好きだから、もっとひっつきたい。
もっともっと沢山甘えたい。
冬の夜は冷えるから、蓮が長めのマフラーで二人一緒にくるむ。
これなら寒くない。
体を寄り添い合っていれば、なんだかぽかぽかしてくる。
「……ぅなぅ……」
「……舞依?」
二人、静かにツリーを見ている物と思っていた。
舞依の呟いた言葉に、あれっと蓮が首を傾げる。
なんとなく少し、舞依がさっきよりも自分にもたれかかっている様な気がして、蓮は舞依の顔を覗き込む。
1日、はしゃぎ回って疲れたのだろうか、そこには可愛らしい舞依の寝顔があった。
「……メリークリスマス、舞依。大好きだよ?」
もたれかかる舞依をもう少し抱き寄せて、蓮が舞依の額に口づけを落とす。
少し照れるけれども、愛しい相手。慈しむ様にその表情はとても幸せそうで。
寝ているのにその口づけに気がついたかの様に、舞依の口元が綻んだ。
このままずっとこうしていたいけど、このままでは大事な舞依が風邪を引いてしまう。
大事な眠り姫を起こさない様に、蓮は彼女を抱きかかえゆっくりと歩き出す。
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