月白・朔耶 & 柳薙・真蕗

●貴方に喜んで欲しいから…

 クリスマスはやっぱり特別な日。
 折角だからと、今晩気心が知れた女友達と真蕗の家で、クリスマスパーティーをする事にした。
 いつもは一人きりで、それほど広くないのに広く感じてしまう部屋。そこに今日は沢山の友達が来てくれる事が嬉しい真蕗は、みんな座る事ができるだろうかと考えていた。

 ピンポーン。

 玄関の呼び鈴が鳴る。
 約束の時間ぴったり。
 扉を開けるとそこには笑顔の朔耶が立っていた。
「おじゃましまーす」
「うん。どうぞです」
 パーティーは今晩。その準備を一緒にしようと、約束していたふたり。他の仲間達よりも先にやってきた朔耶を部屋の中へと案内する。
 まだまだパーティーの時間まで、余裕はあるけれども、のんびりしていればあっというまに時間は経ってしまうから、二人は並んでキッチンに立ちパーティーの準備を始める。
 二人とも普段から料理をしているので、手慣れた手つきで料理を作っていく。
「クリスマスの前に試験っていうのは、やっぱり辛いよな」
「でも、普段から勉強していれば大丈夫なのでしょうけど……。関係ないんですけど、ここの所肌が、荒れやすくなったりしません?」
「んー。どうかなー」
「空気か乾燥していて、手を抜くとすぐにカサカサってなりません?」
 手を休めずに朔耶と真蕗が、他愛もない会話に花を咲かす。
 
 学校の事。
 共通の友達の事。
 女の子らしい、お洒落の事。
 それから今日のパーティーが楽しみな事。

 そんな沢山の話をしながら、次々と出来上がってくる料理達。
 できた料理をみんなとパーティーをするリビングへと運ぶ朔耶。
 後、もう少しで友人達がやってくる時間。
 料理は全て出来上がり、リビングへと楽しげに運んでいく朔耶の傍らで、大きなクリスマスケーキの最後のデコレーションに取りかかる真蕗。
 あと少しでみんなが来ちゃうと、少し焦りながらも生クリームを絞っていく。慌てるけど手際よく、等間隔に絞られる生クリーム。仕上げに苺をのせて……。
 真蕗が最後の苺をケーキの上に置いたとき。
 
 ピンポーン。

 それはみんなが来た合図。
 玄関の呼び鈴が鳴った。




イラストレーター名:ムクゲ