●猫メイドとご主人様のTwilight
つきあい始めて1年半。
そして2度目の一緒に迎えるクリスマス。
今年は少し変わった趣向。
主人とメイド。
ネコミミメイド服の沙夜羅に、ワイルドな御主人様の神室。
普段と違う感じでパーティは始まった。けれども衣装は違えども、いつもと変らず、やっている事は普段と同じ。
そんな自分たちの甘い時間に感動さえ覚えてしまう。
「これが私たちらしいカタチなのかな」
「かもしれないな」
沙夜羅がくすりと笑えば、神室もそれに笑って応える。
「おいで、子猫な沙夜羅」
ソファに腰掛けた神室が彼女に向かって少し悪戯っぽい笑みを浮かべながら、片手を沙夜羅の方に差し出す。
名前を呼ばれ、少し頬を赤くしながら、彼に誘われるまま沙夜羅は、神室の足元に座り込み、彼の膝に頭を預けた。
沙夜羅を誘った神室の手はそのまま彼女の頭に静かに下りる。
彼女の紫色の長い髪の毛に指を絡ませ、優しく沙夜羅の頭を撫でる。
自分の髪の毛を掬い取られそのまま、神室が頭を撫でてくれる感触がわかると、沙夜羅は静かに目を閉じた。
ゆっくりと優しく撫でる神室の手の感触。
優しくそして甘い。
ただそれだけで、胸を締め付けられる。
その甘い行為に沙夜羅は、うっとりと吐息をはき出す。
言葉を交さなくても、互いをすぐそこに感じ、熱く胸を焦がす。
膝に感じる沙夜羅の頭の重み、指先に感じる細く柔らかい彼女の髪の毛。
すべてが愛しい。
はき出す吐息。
あまたを撫でる優しい手
赤く染めた頬。
低く優しい声
髪の毛を滑る指先。
指先から落ちる細い髪の毛。
静かな時間が流れていく。
その時間を終わらせたのは神室の言葉。
「愛してるよ、沙夜羅」
指先で掬った髪の毛を唇にあてて、沙夜羅へと愛を囁く。
切ない響きに沙夜羅は彼の方へと顔を向ける。
視線が重なる。
そして彼の言葉に誘われるように、沙夜羅は体を起こしソファの上に座ると彼の体に寄り添う。
締め付けられるのは胸。
沙夜羅は片手を彼の素肌の上に置き、彼の耳元で囁く。
「うん……私も……」
言葉ともに、彼の耳に口づけ一つ。
まだまだ、甘い時間は終わらない。
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