●しあわせなひととき〜The Best Xmas Present
お昼過ぎのショッピングモールは、沢山の人と、沢山のクリスマスの飾りつけで、普段よりもとても賑わっていた。
それを眺めているだけでも楽しそうだけれども、今日はクリスマスプレゼントを選びに来たのだから、眺めているだけなんて事はできない。
みかはとろんへ。
とろんはみかへ。
それぞれが相手へのプレゼントを選ぶ。
何を選んだかは、家に帰ってからのお楽しみ。
相手のびっくりする顔に、喜ぶ顔。
そんな事もひっくるめて、相手の事を考えて考えて、選んだプレゼント。
プレゼント選びが終わったら、カフェでちょっと一息。
可愛らしいプリンが乗ったケーキはお持ち帰りで、またおうちに帰ってからのお楽しみ。
カフェを出た時には、もう暗くなって、ショッピングモールのあちこちがきらめき始めていた。
「わぁ……」
「綺麗だね」
みかが感嘆の声を上げる横で、とろんが楽しげな声を上げる。
ショッピングモールは、イルミネーションで飾り付けられて、とても綺麗。
光の並木道となった場所を、楽しげに歩いていく二人。
「寒くなってきたねー」
「ってゆーか……とろんさん薄着っぽいし」
「ならば……暖めてもらおうか!」
しんしんと冷え込む冬の夜にしてはとろんが薄着なことに突っ込むみか。
それならと、とろんは楽しげな笑みを浮かべると、みかががしているマフラーの半分を自分にも巻きつけて、ひとつのマフラーで二人一緒に入るようにする。
「はぅ……みんな見てるし、恥ずかしいよ……」
そんなことされると思っていなかったみかは、頬を赤く染めてとろんを見る。
恥ずかしいというけれども、それは幸せそうな表情。
続く光の並木道を歩く二人。
家に着いたら、プリンのケーキを一緒に食べて、プレゼント交換。
マフラーの裾を引っ張り合ったり、きらめく光を追いかけたり、ふたりは楽しげに帰っていく。
赤いリボンのついた小さな銀色のベルに、一緒に遊べるおもちゃ。
これはまだ相手が知らない秘密。
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