●聖夜、心重ねて
「すごーい!」
感激した様子で巨大なクリスマスツリーを眺め、姫野が瞳をランランと輝かせる。
姫野達は結社パーティから抜け出し、町の巨大なクリスマスツリーを見に来ていた。
巨大なクリスマスツリーは見上げなければならないほどスケールが大きく、夜空の星々を映し出すようにして、キラキラとイルミネーションが輝いている。
……ふたりで過ごす幸せな一時。
大好きな人と一緒に初めて過ごすクリスマス。
姫野はとても照れ屋なので、大好きな彼と一緒にいるだけで、内心ドキドキなようである。
だからこそ、こうやって充実した時間を過ごす事が出来るのかも知れない。
それを確かめ合うようにして、仲良く一緒に手を握る。
途端に幸せな気持ちが姫野の心を包み、自然と笑みが零れてくる。
「これ……、プレゼントです。気に入ってもらえると、良いんですけど……」
しばらくして葬儀が、彼女にプレゼントを渡してきた。
プレゼントの中身は、赤のロングコート。
これを着れば、ぱっと見ペアルック。
「……」
思いがけないプレゼントに、姫野の顔が真っ赤になった。
すぐに『ありがとう』と言おうと思ったが、恥ずかしくて言葉が出ない。
本当は葬儀に飛びつきたいほど嬉しいのだが、嬉し過ぎて自分の感情をうまく表現する事が出来なかった。
「ちょっと着てみますか?」
その気持ちを察したらしく、葬儀が赤いロングコートを着せる。
姫野は顔を真っ赤にしながら、葬儀の手を再びギュッと握り締めた。
うまく言葉にする事は出来なかったが、それでも葬儀はその気持ちを、すべて汲み取ってくれた様子。
それが彼女にとっては、とても嬉しい事だった。
「在り来りだけど、ずっと一緒に居てください」
……葬儀からの告白。
姫野はさらにビックリした。
赤いロングコートに続いて、彼女にとってふたつめのプレゼント。
姫野は顔を真っ赤にしながら、小さくコクンと頷いた。
| |