ブリギッタ・カルミーン & 犬塚・沙雪

●2人だけの時間

 楽しかったクリスマスパーティーの後、沙雪とブリギッタの二人は、沙雪の部屋へと戻ってきた。
 部屋にはキャンドルの灯りだけ。
「外は寒かったね……ん、もっとこっちに寄って、一緒にケーキ食べよ」
「それでは……失礼しますね……♪」
 沙雪はベッドに腰掛けると、自分のすぐ隣の部分を軽く手を叩き、ブリギッタを誘う。
 するとブリギッタは少し恥ずかしげに頬を赤く染めたけれども、嬉しそうに沙雪の隣に腰掛けた。
 身体を寄り添いあってベッドに座る二人。
 なんとなく顔を見合わせては笑ってしまう。
 用意していたケーキを取り出して、キャンドルの灯りのなかで二人だけのクリスマスパーティー。
 話し話題は、先ほどまで行っていたクリスマスパーティーの事。
 小さな出来事を思い出しては、楽しげに笑いあって、二人で一緒に過ごせることを喜びあう。
「クリーム、付いているぞ」
「ぁ……ほ、本当です……」
 沙雪に口端にケーキの生クリームが付いていることを指摘されて、慌ててその場所に指先を宛がうブリギッタ。
 そしてブリギッタの指はそこどまり、そのままクリームを拭い取ることはなく、代わりに彼女は無言のまま沙雪の方に顔を近づける。
 何も言わないけれども、その瞳は彼にこのクリームを取ってくれとせがんでいる。
「ん……♪」
 そんな彼女のおねだりに気が付いた沙雪は、彼女の口端についた生クリームを指先で拭い取ると、クリームが付いたままの指を口に含み舐める。
 その様子を見つめていたブリギッタの視線と、彼女を見ながらクリームを舐めながらブリギッタを見つめている沙雪。
 交わす言葉は何もない。
 静かに時間が過ぎていき、キャンドルの灯りが揺らめく。
 ただ見つめあうだけ。
 でもそれはそれだけで終わらず、どちらからともなく顔を寄せ合い、そのまま唇が重なり合う。
 互いを求める手は、相手の手を見つけると、手を重ね指を絡ませあい、しっかりと握り合う。
「ん……あのさ、今晩……その、泊まっていかないか?」
 「あ……は、はい……ぜ、是非………。ふ、ふつつかものですが……♪」
 ながい口付けの後、吐息がかかるほどの距離で沙雪がブリギッタに尋ねる。それにブリギッタは更に頬を赤くして、沙雪に応える。
 言葉が終わらないうちに、また唇を重ね。  幾度となく交わす口付け。
「沙雪さん……愛しています……♪」
「俺も……愛してるな」
 その合間に切なげに囁くのは愛の言葉。




イラストレーター名:金子卓生