●White Christmas
「寒っ……!」
ブツブツと文句を言いながら、悠治が雪だるまを作っていく。
何だかんだ言っているが、結構雪は好きな方である。
だから文句を言っている割には、思いっきりはしゃいでいた。
「こうやって、ひーちゃんと過ごすクリスマスも、今年で二回目ですね……。時が流れるのは、早いですね。それにしても、雪遊びするのは、何年振りでしょうか。何だかしばらく雪で遊んでいなかった気が……」
昔の事を思い出しながら、環奈がしみじみとした表情を浮かべる。
雪だるまの表情はとても愛らしく、まるで笑顔を浮かべているようだ。
「あら、よっと」
雪だるまにバケツを被せた途端、悠治の脳裏にイタズラ心が芽生える。
(「何だか、みーちゃん。ぼーっとしているな。それじゃ、ちょっとばかり、驚かせてやるか」)
……ほんの些細な出来心。
軽く環奈を狙って雪玉を投げる。
「きゃ!」
驚いた様子で悲鳴を上げ、環奈が目を丸くした。
一瞬、何が起こったのか分からなかったが、どうやら悠治が悪ふざけで雪玉を投げたようである。
「ははっ! ぼーっとしていると、もう一発くらっちまうぞ」
戸惑う彼女の姿を見て爆笑しながら、悠治が雪玉を積んでいく。
もちろん、環奈も黙っていない。
雪で顔が真っ白になりながら、せっせと雪を丸めていく。
「ほらほら、早くしないと、雪だるまがもう一つ出来るぞ」
軽く冗談を言いながら、悠治が再び雪玉を投げた。
そのせいで環奈が大きくバランスを崩し、自分で作っていた雪玉を尻に敷く。
「こっちだって、負けませんよ〜」
雪まみれになった顔を拭い、環奈が手元に残った最後のひとつを放り投げる。
その雪玉は真っ直ぐ悠治の顔面に飛んでいき、自らの役目を果たして四散した。
「おっ、やったな!」
だんだん雪玉を投げる事が楽しくなり、2人の顔から笑みが零れる。
そして、ふたりは時間も忘れて、雪玉遊びに夢中になった。
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