●Let's クリスマスパーティー 〜準備間に合うの?〜
「わきゃ〜っ!! 間に合わな〜い!!」
青ざめた表情を浮かべながら、彩夜がドタバタと音を立てて、辺りを走り回る。
……場所はCafe【月ノ宮】店内。
彩夜と夢美はそれぞれ結社の団長をしており、姉妹結社になっているので、合同でクリスマスパーティを開催する事になった。
今年のクリスマスは、お互い高校3年生。
結社の団長として最後のクリスマスパーティー。
そんな事もあってか、張り切って準備をしていたのだが、時間の流れとは実に残酷で、気がついた時には、イブの当日になっていた。
「なんで最後の年まで、こんなドタバタなんでしょう?」
納得の行かない表情を浮かべ、夢美がローストキッチンを、オーブンに入れる。
その間も刻一刻とクリスマスパーティの時間が迫っており、ふたりの間にも緊張が走っていた。
夢美は調理場で、ケーキやローストチキン、サンドイッチなどのパーティー用の料理作り。
彩夜はフロアでクリスマスツリーと部屋の飾りつけ、それとリース作り。
どんなに頑張っても、ギリギリになりそうな予感。
それでも、自分達にとって最後のクリスマスパーティになるのだから、ここで諦めるわけには行かなかった。
「こ、こんなはずじゃなかったのにぃ〜」
いまにも泣きそうな表情を浮かべ、彩夜がここ数日間の自分を思い返す。
間違いなくクリスマスの準備をしていたはずである。
少なくとも、遊んでいたわけではない。
(「それなら、どうして……」)
……頭の中に渦巻く、疑問。
まったく答えが出ないまま、時間ばかりが過ぎていく。
「……これも運命なのでしょうかね?」
ションボリとした表情を浮かべ、夢美が深い溜息を漏らす。
運命の一言で片付けるわけにはいかないが、ここまで準備が遅れてしまった理由が浮かばない。
「と、とにかく急いで、準備を終わらせよう」
彩夜がぐっと気合を入れる。
ふたりで頑張れば、何とかなる……はずだ。
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