●こたつでハッピークリスマス♪
「外は寒いですね」
部屋の真ん中に設置した円こたつに入り、暦が暖かいお茶を湯飲みに注ぐ。
……外は雪。
暦は籠に入ったミカンの皮を剥き、眠そうな表情を浮かべた繰太に渡す。
「ありがとう」
彼女に剥いてもらったミカンを受け取り、繰太がもぐもぐと食べ始める。
その姿を見て暦が嬉しそうにニッコリと微笑む。
繰太の姿を見ているだけで、暦はとても幸せな気分になれた。
だが……。
どうしても気になる事が、ひとつだけあった。
(「……これだとお正月みたいですわねぇ」)
窓の外に降っている雪と、クリスマスツリーを交互に見比べ、暦がそんな事をふと思う。
「お正月みたいだな」
繰太の何気ない一言。
一瞬、暦はきょとんとした表情を浮かべた後、思わず声を立てて笑い出す。
「……?」
今度は繰太がきょとんとした。
一体、何が起こったのか分からない。
どうして彼女が笑っているのかも……。
繰太の頭の中はハテナマークでいっぱいだった。
「も、申し訳ありません。あの、今私もそう思いましたの」
ハッとした表情を浮かべ、暦が詳しい説明を繰太にする。
「ああ」
その説明で納得をする、繰太。
「一体、何が原因なんでしょうね?」
キョロキョロと辺りを見回す、暦。
「ミカン……、こたつ……、あと格好かな?」
繰太が目に入ったものをあげていく。
どれも冬には必需品となるアイテムだが、正月だと錯覚させる危険性を含んでいるものである事は間違いない。
「や、やっぱり、そう思いますよね」
そう言われて、暦が苦笑いを浮かべた。
これでクリスマスツリーがなければ決定的である。
「でもこんなクリスマスもいい、悪くない」
繰太からの優しい言葉。
その言葉を聞いて、暦はホッとした気持ちに包まれた。
「あっ、忘れてました。ハッピークリスマス、ですの、繰太様」
暦がニッコリと微笑む。
「ハッピークリスマス」
繰太もニッコリと笑って、答えを返した。
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