●Under The Tree ~ずっとそばに~
恋人になって初めてのデート。
待ち合わせ場所は、芽衣の最寄り駅の改札に18時。
征次は予定よりも、少し早めに到着。
芽衣も早めに着いてしまったので、ふたりで顔を見合わせ照れ笑い。
そのまま、ふたりはクリスマスのイルミネーションに彩られた街中を歩く。
特に行き先を決めていたわけでもなかったので、適当に街をぶらぶらとしながら、ショッピングを楽しみ、寒さを凌ぐためにゲームセンターに入ったりして、ふたりだけの時間を過ごす。
その途中で征次が自然と芽衣の手を握る。
(「……手、手!?」)
いまがデートの最中だった事を思い出し、芽衣が恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
(「あたしの方が年上のはずなのに……」)
何故か、征次の方が余裕である。
逆に芽衣の方は……、胸の高まりが止まらない。
「ねぇ、クリスマスツリー!」
瞳をランランと輝かせ、芽衣が喜びの声を上げる。
そこにあったのは、とても大きなクリスマスツリー。
征次の手を引きながら、芽衣が我を忘れてはしゃぐ。
そのせいで足がもつれてしまい、大きくバランスを崩して転びかけた。
「ちょ!! 危なっ!!」
慌てた様子で芽衣に駆け寄り、征次が後ろから抱き締めるようにして、ぎゅっと受け止める。
何となく予想をしていたので、素早く反応する事が出来たものの、後少しでも遅ければ間に合わなかったかも知れない。
「……あったかい、ね」
そんな不安を打ち消すようにして、芽衣が肩に回された征次の手に両手を添え、恥ずかしそうに俯き加減で微笑んだ。
これからは当たり前のように、愛する人の傍にいれる。
恥ずかしそうな表情を浮かべ、ふたりが幸せそうに微笑み合う。
空を見上げれば、満天の星空。
ふたりの心が通じ合った初めてのクリスマス。
「ありがとう芽衣。大好きやよ」
少し余裕げな優しい微笑みを浮かべ、征次が彼女の耳元で囁きかける。
その言葉を聞いて、芽衣の身体がほんわかと暖かくなった。
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