藤野・沙羅 & 桜・楼心

●甘く可愛くサプライズクリスマス

 ふたりで迎えた二度目のクリスマス。
 沙羅はふたりきりのクリスマスパーティを準備するため、先に楼心の部屋にやってきた。
 張り切って美味しいディナーを作り、クリスマスケーキも準備万端。
 プレゼントもしっかりと用意したので、あとは……あれだけ。
 ……この間、街中で見かけたサンタワンピース姿のお姉さん。
 楼心が可愛いお姉さんに見とれていた事を、沙羅は知っている。
 その事を思い出すと、ちょっと腹が立ってしまう。
(「さ、沙羅だってあれくらい……」)
 そう思って購入したミニスカートのサンタワンピース。
 ベアトップなデザインで、少しセクシー……。
(「に、似合っているかな?」)
 いざ着てみると、なんとなくおかしな感じ。
 鏡の前で何度も確認したが、何となく違和感が……。
(「ちょっと、大胆過ぎる気もするけど……、楼心さん喜んでくれるかな……」)
 少し恥ずかしくて緊張もしているが、大好きな楼心が喜んでくれるのならやるしかない。
 沙羅は自分の気持ちを奮い立たせるようにして、ぐっと握り拳を作る。
「ただいま」
 その声に驚き、沙羅が玄関まで駆けて行く。
「お帰りなさい! メリークリスマス……!」
 笑顔で駆け寄り、抱きつく沙羅。
 そして、楼心の頬にキスのクリスマスプレゼント。
 突然の事に驚きながら、楼心が嬉しそうに目を細め、彼女からのキスを受け入れる。
「あら、沙羅ちゃん可愛いわー」
 そこで沙羅の服装に気がつき、楼心が嬉しそうに喜び、ぎゅうっと彼女を抱きしめた。
「ろ、楼心さん〜っ」
 その反応に驚き慌てながら、沙羅も嬉しそうに笑みを浮かべ、楼心をぎゅっと抱き返す。
 サプライズは大成功!
 ……と、思いきや。
「あ、あの……、楼心さん。そ……そろそろ、離してくださ……っ」
 彼女を抱きしめたまま、一向に離そうとしない、楼心。
「ふふ、もう少しこのまま楽しませて」
 そう言って楼心が笑みを浮かべ、そっと彼女に口付けをした。




イラストレーター名:あららぎ風矢