●二人のクリスマスディナー
「えーっと、ケーキがここで、お菓子はここっと」
クリスマスの日に都とディナーの約束をかわし、蛍がテーブルの上に手馴れた手つきで、料理をテキパキと置いていく。
蛍は都の家に居候しているので、普段から料理を作ったり、その手伝いをしていたりするので、いつもとやっている事と、さほどの違いは無いのだが、今日がクリスマスと言う事もあってか、腕によりをかけて、飾りつけにも力を入れた。
「完璧っ♪」
目の前に並んだ料理を眺め、蛍が納得した表情を浮かべる。
自分で言うのも何だか、いつも以上に、美味く料理が出来た。
これならば、きっと都も満足してくれるはずである。
「それじゃ、そろそろ呼びに行くデス」
壁に掛けられた時計の時間を確認し、蛍が鼻歌混じりに都を呼びに行く。
隣の部屋にいた都は料理の匂いに導かれ、ふらふらと部屋から姿を現した。
「おっ、凄いな、これ」
テーブルの上に並んだ料理を眺め、都が瞳をキラキラと輝かせる。
どこから食べようか、どうやって食べようか、頭の中で悩んでいるうちに、あっという間に時間が過ぎていった。
「これで驚いていたら、駄目デス」
満面の笑みを浮かべながら、蛍がメインの七面鳥をドンッと、テーブルの上に置く。
「こ、これは……」
七面鳥の大きさに圧倒され、都がゴクリッと唾を飲み込んだ。
「確かに……、凄いな」
普段、見慣れない豪華な食事に、都がさらに瞳を爛々と輝かせる。
「それじゃ、さっそく戴くデスよ」
満足した表情を浮かべ、蛍が席に座ろうとした。
「あっ、ちょっと待って」
席に着こうとしていた蛍を呼び止め、都が彼女に近くまで来てもらう。
「素敵なクリスマスプレゼントをありがと」
その言葉と共に都が彼女の頬にお礼のキスをする。
そして、ふたりは幸せな気持ちに包まれ、楽しいディナーを過ごすのだった。
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