御劔・学 & 揚羽・てふ

●偶然×突発×食事会

「久々だなぁ、元気だったか?」
 何気なく学が街を歩いていた時の事。
 偶然、行き違ったてふに気づき、笑顔を浮かべて声をかけた。
「久しぶり♪ そっちこそげんきだったの?」
 てふも久々に学と会えた事を喜び、彼と同じような笑顔を浮かべて問い返す。
 学に会うのは、本当に久しぶりであった。
 ふたりとも、まさかこんな場所で会えるとは思っていなかったらしく、驚いている様子。
「ああ……、何とかな。ところで、時間があるんだったら、ランチでもどうだ? もちろん、奢るぜ?」
 目の前にあるカフェに視線を送り、学が彼女をランチに誘う。
 これから特に用事があるわけでもないので、のんびり時間を潰すにはちょうどいい。
「時間は今のところ空いてるよ。……だからランチくらいならOKだよ♪」
 満面の笑みを浮かべながら、てふが力強くコクンと頷いた。
 彼女もこれと言った用事がないので、ランチをするだけの時間が十分にある。
「それじゃ、行くか」
 そう言って学がポケットに手を突っ込み、てふを連れて近くのカフェに入っていく。
 カフェの中はクリスマスムード一色で、まわりの客はカップル達ばかり。
 学達はメニューを持ってやってきたウェイトレスに、ランチメニューを注文すると、積もる話に花を咲かせていく。
「そういや、彼氏が出来たって? どうなんよ」
 ウェイトレスが持ってきたランチをむさぼり、学があっけらかんとした態度で問いかけた。
 てふに彼氏が出来た事は知っているが、それ以上の事は何も知らないと言っていいレベル。
 ならば本人に聞いた方が早いと言う結論に至ったらしい。
「しっかりラブラブですがぁ?」
 ニコッと微笑みかけながら、てふが学に答えを返す。
 その表情から、とても幸せそうな雰囲気が伝わった。
「まぁ、たまにゃこうして食事一緒にしようさね」
 のほほんとした表情を浮かべ、学が食後のコーヒーを飲む。
「うん、たまには逢うのも良いかもね♪」
 そう答えて、てふがニコッと笑う。
 いつ何処か会うのか約束はしていないが、また縁があれば何処かで再会できると信じつつ……。




イラストレーター名:明原るんば