仙風・彰人 & アラストール・セブンセントラル

●『今年のお前の衣装はこれだ!』 『だ…誰が着るかー!』

 彰人はクリスマスの時期になると、自分の育った孤児院の子供達に、サンタの格好をして、プレゼントを配っていた。
 そして、今年のクリスマス……。
 アラストールが女子と判明した事で、去年よりも酷い状況になっていた。
「……と言う訳でアラ、今年のお前の衣装はこれだ!」
 じゃじゃーん、と派手な音が響きそうな勢いで、彰人がアラストールにHな水着を渡す。
 一応、赤と白の水着なので、何となくサンタっぽく……見えない。
 どこからどう見ても、Hな水着……。
 ……というか、水着にしか見えなかった。
「ばっ、馬鹿者! だ……誰が着るかー! これでは水着だろう! せめて普通のサンタクロースの服を出せ!」
 恥ずかしそうに赤面しながら、アラストールが文句を言う。
 こんな水着を着たら、教育上……。
 いや、精神的にもよろしくない。
 ……主に後者!
「いやー、今年はお前の分のサンタコスが間に合わなくてなー、HAHAHA!」
 まったく悪びれた様子もなく、彰人が嘘臭い笑い声を響かせる。
「絶対に嘘だ! とにかくこんな衣装が着れるか!」
 さらに顔を真っ赤にさせながら、アラストールがHな水着をつき返す。
 ここで素直に水着を着てしまえば、次にどんな物を着せられるのか、分かったものではない。
「何を言う、今時はこーゆーのが流行りなんだぜ!」
 それでも彰人は決して諦めず、ビシィッと彼女にHな水着を返す。
「もう騙されんぞ! そんなに着たければ、お前が着ろ!」
 今までの出来事を思い出し、アラストールがHな水着を叩きつける。
「馬鹿だな、こーゆーのはセクシーで可愛いお前が似合うじゃないか」
 右手をパタパタとさせながら、彰人が別の切り口から、彼女を攻め落とそうとした。
「……そ、そうか?」
 そう言ってアラストールが、Hな水着を着た自分の姿を思い浮かべる。
 ぼっ! きゅっ☆ ぼん♪
「き、着れる訳ないだろうがー!」
 唸る豪腕。
 吹っ飛ぶ、彰人。
「後一歩の所でぇぇぇぇ!」
 悔しそうな表情を浮かべ、彰人が青空にむこうまで飛んでいく。
 その後、アストールは彰人用のサンタ服を着込み、彰人はその辺に転がっていたトナカイを着せられ、敗北感に包まれたまま『次こそはっ!』と意気込むのであった。




イラストレーター名:椎鳴みなづき