志衛亭・響 & 祝詞・勢

●朝まで耐久ホラー映画鑑賞会!

 シンシンと雪が降る、ホワイトクリスマス。
 結社「Re:Vigilantes」の2階をリフォームした響の私室に。
 勢が居候を始めたのは、約1ヶ月前のこと。
 そんなたくさんの映画のポスターが貼られた響の部屋を仄かに照らすのは。
 アロマキャンドルの炎と、テレビの光のみ。
 小さなツリーや食べかけのチキン、お菓子とともに。テーブルに山積みされている大量のDVD。
 それらは、ふたりで選んだもの。
 新旧名作B級問わず好みの映画DVDを一緒に観ようと、レンタルしてきたものである。
 そして、雪の舞う聖夜に、寄り添って毛布をかぶりながら。
 一緒に鑑賞を楽しむためにふたりが選んだDVD作品は、というと。
 すべて――ホラーやスプラッタ系だったのである。

 そして始まる、「朝まで耐久ホラー映画鑑賞会」!

 それじゃ、『holy night』もとい『horror night』を楽しみましょ?
 そうDVDを見始めた響と勢。
 だが1本目は、見事にパッケージに騙されたハズレ作品。
 そこで満を持して。次は、日本未公開の期待作をデッキへと入れた。
 去年のクリスマス、響よりも僅かに先に寝てしまった勢は。
 今年は負けねェぜ! と、密かに気合を入れる。
 そして流れ始めた映像を、食い入るように見つめるふたり。
 お互いの趣向が偏った……いや、一致したのも。楽しさも御馳走も怖さも共有出来るのも。
 とても素敵なことだと、響は思いながらも。
 テレビに映し出される映像に、思わず毛布を握る手に力が入る。
 こういう作品を見慣れているはずの勢も、寒さのせいか怖さのせいか、手が震えている。
 なんとも言えない間、なんとも言えないDangerousなBGM。
 怖がらせるために作られた映像は、流石に怖くてグロテスクだ。
 思わず顔がひきつって。そして……響は無意識に、隣の勢に寄りかかる。
 寒気を感じていた勢もナイスタイミングと、近くなった響の身体に遠慮なくもたれかかったが。
 伝わる響の体温が、じんわりと全身に沁みて。
(「ヤベェ、また安心して寝ちまいそう……」)
 その温もりに、安心感と、そして眠気を感じたのである。

 この調子ではどうやら今年も朝まで持ちそうもない。
 身の震えるような寒気と同時に、安心するような相手の温もりを感じる。
 そんな、クリスマスの夜の……ホラー映画鑑賞会。




イラストレーター名:mtkt