桜都・姫花 & 御東間・益零

●ライバルは一時休戦 = サンタクロース捕獲計画 =

 いつもはライバル同士の姫花と益零の戦いも、今夜ばかりは一時休戦。
 二人して狙うのはサンタ。
 サンタ捕獲大作戦。
 もちろん狙いはプレゼント!

 設けられた作戦会議室は、銀誓館学園の学生寮にある姫花の部屋。
 そこでクリスマスケーキを食べながら、『サンタ捕獲大作戦』の作戦を練っている。
「サンタが降りてきた所を捕獲……なので、彼がやって来そうな時間……つまり良い子が寝静まった時間……に、煙突下で待ち構えましょう……。姫は悪い女なので夜更かしは得意です…ふふ」
 作戦の概要を背詰めしながら、姫花が用意しておいたグラサンとニット帽を取り出す。
 自分と、益零、兎人形のみーたんのふたりと一匹分。
 益零は早速帽子を被り、サングラスを掛けてみる。
「益零さん、良くお似合いです……。本物の悪党のようですよ…ふふふ」
 益零のグラサン姿を見て、姫花はほくそ笑む。
 そうして、2人は肝心な捕獲作戦を詰めていく。

「ワシは電飾風のロープで縛り上げようかと思う。こう、ヌイグルミの振りして暖炉の横から飛び掛れば、不意をつける気がするんだよ。姫花はどう思うよ?」
 トナカイの着ぐるみを着た益零は口元にイヤらしい笑みを浮べながら、イルミネーション用のロープ状の電飾を姫花に見せ、彼女の作戦を尋ねる。
「では、サンタを目撃しだい姫……は、持ち前のせくしーさ……で、サンタを魅了して見せます……。捕獲の際……みーたんを投げつけ援護します……ね!」
 切り分けたクリスマスケーキの上に乗っている、赤い苺をフォークで刺しながら、うふふふ。と、楽しげな笑い声を上げる姫花。

 サンタが捕獲できなくても、最悪プレゼントの入った袋を捕獲できれば充分だと、二人は頷き合う。
 サンタが来るにはまだ早い時間。ふたりは互いの作戦を話し合い、如何に効率よく、手際よくサンタを掴まえる事が出来るかという、作戦会議に余念がない。
 姫花の膝の上のみーたんも、今日は作戦の為にクリスマスツリーの姿に変身させられている。みーたんをサンタクロースに投げつけるなんて、そんな作戦のことは露も知らずに、みーたんはちょこんと姫花の膝の上に座り続ける。

 やって来たサンタは、待ち構えていた二人によって捕獲されてしまうのか?
 それとも準備で疲れ果てて、二人が眠ってしまう方が早いのか……。
 捕獲作戦の行く末はまだ、誰も知らない。




イラストレーター名:青春