柊・静 & ヒナ・ローレンス

●白く暖かな絆

 ふたりで過ごす、初めてのクリスマス。
 デートと言うほど大袈裟なものではなかったが、パーティの買出しをするついでに街を散策。
 そのせいか、ふたりとも嬉しい気持ちでいっぱいになり、胸がドキドキと高鳴っている。
 みんなに冷やかされるのもなんだからと言う理由で、ふたりともこっそりと持ってきたプレゼント。
 静は彼女がプレゼントを開けてみるまで、気に入ってくれるのか心配になっていたが、どうやら大丈夫そうだったので、とりあえずは一安心。
 逆に彼女が何をくれたのかなと思ってプレゼントの中身を開けてみると、手作り感のある少し歪で凄く長い真っ白なマフラーが入っていた。
「そ、そのマフラー。上手く編む事が出来なくて……、予想外に長くなってしまったんですけど……」
 恥ずかしそうな表情を浮かべ、ヒナが顔を俯かせる。
 静にはヒナがとても愛しく思えた。
 きっと、それは誰よりも彼女を大事に思っているからだろう。
 この事がキッカケで彼女をもっと愛する事が出来そうだ。
「……大丈夫。例え、長くてもこうすれば問題ないよ?」
 彼女からプレゼントして貰ったマフラーを首に巻き、余ったマフラーの端を彼女の首に巻きつけていく。
「こうやって二人で巻く分には、長すぎず短すぎずで良いんじゃないかな?」
 向き合うようにしてお互いの額をくっつけ、間近に相手の顔を見ながら微笑み合う。
「それに……、とっても暖かいですね」
 そう答えてヒナが先程とは違う意味で、頬を真っ赤に染めていく。
 そのため、静もそんな彼女の姿を見て、ほんの少し照れてしまう。
 もちろん、普段の彼ならばこんな恥ずかしい事や、恥ずかしい台詞を言う事もほとんど無いので、照れてしまっても仕方が無いのだが、折角の聖夜なのだから、たまにはこういうのも悪くない。
 それに彼女が喜んで笑顔を見せてくれる事が、静かにとっては手作りのマフラーと同様に、何よりの宝物であった。




イラストレーター名:遊佐